新・BAさんの生態。【辛酸なめ子が行く!デパコスフロア探訪記】

漫画家・コラムニスト
辛酸なめ子
2022/09/23

白い光に包まれるデパートのコスメフロア。ただでさえ心が浮足立つのに、BA(美容部員)さんに話しかける時は、いまだにクラスの人気者グループの女子に声をかける時くらい緊張します。メイクが完璧で目力が強めで一見近寄りがたい……。でも話してみると実はフレンドリーで当たり前ですがコスメの知識も豊富です。今回、大丸東京店のコスメフロアで何人かのBAさんにお話を伺い、生態についてリサーチいたしました。

こう見えて実は体育会系?

まず、気になるのが人間関係。女性が多い職場で上下関係が厳しそうです。
以前、別のデパートで、先輩が後輩のアイメイクの仕上がりについて注意しているシーンを目撃したこともあり、勝手ながら人間関係がハードなのでは?と思っていました。

国内ブランドのBAとして17年以上の経歴があるFさんは「新人の頃は大変でした。スパルタで、知識について指導されました。体育会系で上下関係もありました」とおっしゃいます。Fさんご自身、雰囲気がバスケ部の先輩のよう。女子に慕われそうです。厳しい新人時代を過ごしながらも、自分が先輩になったときは、その連鎖からは抜けて、後輩にも優しく接している人格者です。
「今はそういう時代じゃない。強く言っちゃいけない時代。うちのブランドは良好な人間関係です。年齢層が若く、私なんか年が離れているけれど受け入れてもらってます」と、謙虚です。

国内ブランドTさんも17年のBA歴で、昔と今の変化を感じるとか。
「昔は体育会系でしょっちゅう怒られてました。今はなんでも持ち上げながらやっていく。怒られたことがない子も多いんです。私はそれでも怒る方。メリハリが大事かな」
明るくてドライな印象のTさんなので、もし怒られてもそこまでダメージなさそうです。
「私は年なので(笑)今の若い子の会話に入っていけないですね。ノリが違う」
と、むしろ年長者が若い世代に気を遣う時代に……。

海外ブランドのSさんは、具体的にBAさんの人間関係について教えてくれました。
「売上とシフトの作り方がもめる原因なのですが……うちはうまくいってます」
なんとなくこの人苦手、とかではなく、明確な理由があるんですね。
「特に今は、感情的に言うのはダメなので、後輩には寄り添うように優しく接することを心がけています」と、BA歴20年のSさん。今の若い世代は人間関係的にはいい時代に生まれたかもしれません。
Sさんは、「自分の足に合ったパンプスは見つかった?」と入ったばかりの後輩に優しく問いかけていました。
こちらのブランドは黒いパンプスが規定なのですが、立ち続ける仕事なので足に合わないと痛くなって辛いそうです。
「黒いパンプスで同じメーカーのものをリピートしています。5センチのヒールですが、自分の足の形に合ったパンプスを見つけると全然大丈夫」

国内ブランドのFさんも「体力が重要です。脚パンパンです。8時間くらい立っているとむくむので、新橋や日本橋まで歩いてマッサージを受けにいくこともあります」と言っていました。
私が以前、その界隈のマッサージ店に行こうとしたら予約がいっぱいなこともありました。もしかしたらお仕事帰りのBAさんで混んでいたのかもしれません。デパート周辺のマッサージ店は需要があるのでもっと店舗数を増やしても良さそうです。
ちなみに脚がむくむとおっしゃっていましたが、皆さん普通に細くてスタイル良かったです。

こう見えて実は体育会系?

BAさんが緊張する瞬間

体力が重要なお仕事ですが、それ以外にBAさんに必要な条件について聞いてみると、「コミュニケーション能力とか、空気を読む能力ですね」とおっしゃるのはTさん。
「洞察力、判断力、でも体力が一番重要かもしれない。朝から晩までずっとしゃべって大変です」
立っているだけでなく、ずっとしゃべっている、というのも想像つかないハードさです。いっぽうスキンケア商品があるブランドは、まだBAさんもカウンセリング中に座れるので若干ラクなようです。カラーメイク中心のブランドでは、座るタイミングがないそうで……。それこそ体育会系出身の体力が求められます。

空気を読む能力に関しては、話を伺いながらも感じました。こちらの反応を見て臨機応変に話題を提供してくださるBAさん。その能力があるからこそ、他店に行った時に気を遣うことも……。
「他のブランドの化粧品を買いにいく時は緊張します。働いている側からいろんなこと思うし。1個だけだと悪いなって思ったり。1個より2個の方が喜んでもらえるのがわかるから……」と、本音を吐露してくれた海外ブランドのSさん。

私こそいつも1個とかで申し訳ないですが、BAさんも他社のカウンターに行く時は緊張する、と聞いて、親近感が。完璧なメイクのBAさんも人の子です。

そして、適度な緊張感こそが女性の美への第一歩では?と感じました。カウンターの椅子にはだらけた姿勢では座れません。美しい姿勢で適度な緊張感を保ってこそ、メイクも生きてきます。そしてBAさんのお仕事を支えているのも、きっとコスメの力。好きな自社ブランドのコスメを毎日毛穴から吸収することがエネルギーの源泉になっているのでしょう……。デパコスフロアはコスメ愛で回っています。

EDITOR

漫画家・コラムニスト

辛酸なめ子

久しぶりにキラキラして明るいデパコスフロアを回りました。このブランドは中学時代はじめて基礎化粧品を買ったとか、ここは二十代の時に使っていたとか、このリップは三十代で愛用していたとか、コスメの走馬灯が流れて感慨深かったです。
肌悩み
  • 主にシミ
好きなメイク
  • 最近は眉を描いているときが痛気持ち良いです
コスメの悩み
  • アイシャドウが汗や涙で崩れること

1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。 武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。 人間関係、恋愛からアイドル観察、皇室、スピリチュアルまで幅広く執筆。 近著に『辛酸なめ子、スピ旅に出る』(産業編集センター)、『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)、『辛酸なめ子の独断!流行大全』(中公新書ラクレ)、『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。

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