【十人十色の美衣食住・後編】元宝塚歌劇団宙組トップスター・凰稀かなめさんにインタビュー
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舞台は毎日同じコンディションで臨まなければならないと思いますが、何か心掛けていらっしゃることはありますか?
舞台の稽古が始まったら、毎朝冷やし中華を食べるんです。退団して2カ月後ぐらいにソロコンサートをやらせていただいたんですけど、暑くて食欲減退の稽古の時に事務所の社長が冷やし中華を作ってきてくれたんです。それが美味しくて、美味しくて。それから「明日も冷やし中華食べたい!」と言い続けているうちに毎日になってしまって(笑)。きゅうり、レタス、カリカリベーコン、揚げ春巻きが入っているごまだれの冷やし中華で、朝はそれを食べないと始まらないって感じです。
あとは同じ時間に起きて、何かやることもだいたい同じ時間にやるようにして、毎日同じルーティーンをするようにしています。そうすると他の方の変化に気づくことができるアンテナが張れるんです。宝塚って1公演がロングランなので、出番や小道具を忘れてしまう人もいるんですね。何か焦ってしまったり、ちょっと気を抜いたりすると、いつもと違うことをしちゃったりするじゃないですか。そういう時に気づいて助けられるようにしていたい、と思っていて。例えば大事な小道具を持って出るのを忘れた人がいたら、舞台上でさりげなく渡したりとか。よく変だって言われるんですけど、舞台はみんなで作るものだと思うので、何かあったら助けてあげたいんですよね。宝塚時代のなごりみたいなもので、毎日決まった行動をしています。そうやって続けていると、その日の体調の変化にも敏感になるので。
でも毎日同じコンディションをキープするって逆に難しくて、楽しい時、ムカついている時、悲しい時といろんな感情になるんですけど、それでいいんじゃないかと思うんです。芝居としての最終ゴールは分かっているので、その日の感情でそこに向かって演技したら、いつもと違うものが生まれることもあるんじゃないかと。人に迷惑さえかけなければ、毎日必ず同じ芝居をしなきゃならない、とは思っていないですね。
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舞台の場合、稽古も大変だと思うんですが、凰稀さんにとって稽古はどんなものですか?
稽古は何か問題が起こった時のサポートであったり、対処できるようにするためにしていることなので、稽古は大好きなんです。稽古に正解やいいも悪いもないですし、これだけやったからいいということでもないと思うんです。短期間でも質のよい稽古ができれば、それでいいわけなので。ほんとに人それぞれですし、カンパニーごとによっても違いますからね。ただ稽古が長いと自信や安心は身に付きやすいですよね。できないと不安なので、やるしかないって感じなんですけど。
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舞台は毎日が本番ですが、舞台に上がるスイッチが入るときはどういう時でしょうか?
一歩を踏み出すのに躊躇(ちゅうちょ)はないですけど、勇気はいりますね。ここから舞台に上がるという“境目”ってあるじゃないですか。その“境目”を一歩出たら、いつも“無”になっちゃうんです。
踏み出すまでに「怖い怖い」「どうしようどうしよう」とずっと喋っていたり、動いたり、叩いたりとか、ひどい時は笑ったりしておくと、一歩出たら何も考えなくて、気づいたら終わっているって感じで。舞台の上は“戦い”なので、怖いとかそんなことを言っている場合ではなくなるんです。でも気負いすぎたり、上手にやろうと思うと変に緊張してしまって、せっかくやってきた稽古で積み上げたものが発揮できない状態になりますし、体も硬くこわばってしまう。なので、いつも通りと思っているほうが気楽にできるし、失敗してもいいからやってみよう、と前向きに考えることによって、自由にできたりするんですよね。これまでの経験で舞台の怖さを知っていますし、年々怖くなってくるんです。だから舞台に上がる前にそんな風に落ち着きがない感じになってしまうんですけどね。
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凰稀さんにとってリラックスする時間はどんな瞬間ですか?
寝るのが大好きなんです。それもめちゃくちゃ長く寝られて、これまでの最高で22時間寝ていたこともあるぐらい(笑)。以前私に連絡がつかなくて怒られたことがあるんですけど、その時もずーっと寝ていて。「そんなに寝られるわけない!」って言われたんですけど、遠征の仕事の時に、私が寝ている光景を社長が見て、納得してくれましたけど(笑)。最近はあんまり長く寝られなくなってきましたが、犬を飼っているので、その子と一緒に寝ている時はリラックスします。千秋楽の翌日とかはずーっと寝ていることが多いです。
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今後チャレンジしてみたい、と思われていることは何かありますか?
いくつかあるんですけど、乗馬と弓道ですかね。弓道は1度体験することができたんですけど、コロナ禍の影響で行けなくなってしまったので、またやってみたいですね。あと最近ゴルフを始めました。もともと子どもの頃から家族でゴルフはやっていたんですが、宝塚に入ってから全くやらなくなって、つい最近再開した感じです。周囲にゴルフをやる方がすごく多くてコンペなどにもお誘いいただいているんですが、もともと家にこもりたいタイプで(笑)。行きたい気持ちはあるんですけど、気分屋なのでその日に気持ちが乗るかどうかなんですが、続けていけたらいいなと思っています。
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凰稀さんにとって、人には理解されないかもしれない(もしくは理解されなくてもいい)けれど、自己満足のためだけにやっていらっしゃる趣味や習慣などはありますか?
繰り返しますが、公演前に毎日冷やし中華を食べることです。毎日同じ時間に何かを食べたり、メイクしたりすることで、その日の体調や他の方の違う行動や、何か忘れたりすることに気づけたりするので、いろんなものにアンテナが張れる状態になれるんです。宝塚時代からのクセで、今もずっと続けています。
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凰稀さんにとっての「美」とは?
見た目の「美」も重要だと思うんですけれど、当たり前の挨拶をちゃんと言える人って、ほんとに素敵だなと思います。小さい頃から祖父に「ありがとう」「ごめんなさい」という言葉をちゃんと人に伝えなさい、と言われてきてまして、そういう言葉をちゃんと言える人って最近少なくなったと感じるんです。なので、そういう内面的にもキレイな女性になれたらいいなと思って、気をつけています。
●凰稀かなめさんの愛用コスメ
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〈BeaStage〉HA Seram(30mL) 税込9,900円
※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。
お風呂あがりに一番最初につけています。肌にスーっとなじんでくれて、しっとりとした使い心地が気に入っています。 -
〈BeaStage〉スパ&ミスト 税込51,700円
※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。
お風呂に入れておくだけで、水素水を生成してくれます。それがとても気持ちよくて毎日使っています。モードを切り替えるとミストが出てきて部屋でも使っています。肌にうるおいを与えてくれています。 -
〈BWチャリタダ〉カプサリッププランパー(4.7mL) 税込1,650円
※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。
結構長いこと愛用しているリップなんです。今マスク生活ということもあって、リップを塗るのも面倒なので(笑)、これだけ簡単に塗ってるんです。唇がぷっくりする感じと、しっとりとした使い心地のが好きです。
〈凰稀かなめさんプロフィール〉
2000年、宝塚歌劇団に入団。2007年夏には世界陸上大阪大会開会式に合わせて結成されたユニット「AQUA5」のメンバーに。2011年に宙組へ組替えし、翌年にトップスターに就任する。2015年に宝塚歌劇団を退団し、舞台・ドラマ・映画と幅広く活動。2018年、舞台「さよなら、チャーリー」での演技が評価され、文化庁芸術祭賞の演劇部門新人賞を受賞。
前編では、凰稀さんの宝塚時代の宝塚メイクについて伺いました。
編集/㈱メディアム 成田恵子、執筆/北村文、撮影/鈴川洋平
撮影協力/神谷町オープンテラス
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EDITOR
DEPACO編集部
副編集長 秀島
プロモーション歴10年以上、DEPACOの生みの親。ビューティ系企画~編集~広告~イベントまで幅広く携わる。経験とはうらはらに、百貨店入社をきっかけにデパコスに触れ始めた“保守派”でかつ、"自信はないけど少しはこだわりたい派"。趣味はアート&銭湯めぐり。
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- ※取り扱いの商品には数に限りがございます。
- ※入荷が遅延する場合や急遽販売が中止になる場合がございます。
“十人十色の美衣食住”
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。
今回のゲストは宝塚歌劇団で宙組のトップを務め、退団後も舞台・ドラマ・映画と幅広く活動。2018年には舞台の演技が高く評価され、「文化庁芸術祭賞」の演劇部門新人賞を受賞された凰稀かなめさんです。
■【前編】元宝塚歌劇団宙組トップスター・凰稀かなめさんにインタビューはこちら→