「アジア系、中国系のお客様がすごく増えていらっしゃいます」と話すのは、国内のスキンケア系のブランドのBA(美容部員)、Uさん。
「レートを計算して買われていますが、自分の国で購入するより安い、という感想を聞きますね」
ついに円安のメリットが。売れているのは高価格帯のツーリスト限定セットだとか。日本人のお客さんはだいたい1万円前後の商品を買っていくそうなので、観光客は羽振りが良いです。
「海外のお客様は増えていますが、コロナ前に比べるとまだ半分くらいですね」とのことで、中国のコロナ対策が緩和され、渡航が自由になったらもっと増加しそうです。

また別の国内コスメブランドのIさんは、海外の方に大人気のアイテムを教えてくださいました。
「うちの場合、海外から来るほとんどのお客様がこれを買われます」
それは、ブランドを象徴するフェイスパウダー。かなりいいお値段ですが、コロナ前からも不動の人気だそうです。
「アジア系の方が、写真を持ってきて、これをください、っていうパターンが多いですね。中国で人気の女優さんがインスタか何かでご紹介くださったみたいです」
肌が立体的に美しく輝くパウダー。海外の人に売れていると聞くと急に欲しくなります。インバウンドが増加し、買い占められないうちに買っておいた方が良いかもしれません。

国内コスメブランドのBA、Kさんも、「今は1日5組くらい、海外の方がいらっしゃいます。コロナ前は、1日のお客様の約半数が海外のお客様で、1日10～20組いらっしゃっていたので、そこまでは戻っていないですが……」と、具体的に教えてくださいました。

「以前は中国からのお客様が多かったのですが、最近はシンガポール、韓国、ベトナム、タイなどから来る方が多いですね」
アジア全体が、日本よりも景気が良く、通貨レートも強いのかもしれません。でも円安をきっかけに日本の高品質なコスメが世界に広まるのは嬉しいです。

「本国より安いのかもしれませんね。ご家族や友人用に買っていかれる方や、頼まれものも多いです」
人気なのは、海外観光客向けの高価格帯の美容液。通常よりも容量が多いそうです。誰かのお土産に1万円以上のものをポンと買える人はすごいです。久しぶりの海外旅行で気が大きくなったのかもしれませんが、自分の場合を考えるとその10分の1の値段がやっとです……。もっと経済を回さなければ、という使命感が芽生えました。

国内のコスメやヘルスケア商品のブランドのYさんも、お土産で買う方が多いとおっしゃいました。
「シートマスクやサプリが人気で、お土産や頼まれもので買っていく方も結構いらっしゃいます。膝の痛みや内臓脂肪にアプローチするサプリを1年分買われる方もいました」
細かい効能もちゃんと調べてからショップに来たのでしょう。デパコスフロアに、目標の品を決めて来られるお客さんは“情強”です。

「ここ数週間で増えたのは、シンガポールやタイのお客様。うまく英語を聞き取れないこともあるので、翻訳アプリを駆使して接客しています。ジェスチャーでなんとかなることもあります」
3年間、ほとんど海外の人と接客していなかったため、BAさんの英語力も若干ダウンしてしまっているのかもしれません。でも、今はスマホの翻訳アプリが充実しているので、きっと大丈夫です。

今回、いくつかのブランドでお話を伺い、アジア各国からのお客さんが増えているのを知りました。旅行で訪れる場所にデパコスフロアを入れるとは、お目が高いです。
中国からのお客さんはまだそんなにいないようで、取材時点では出国制限が設けられていたからかもしれません。解除されたら、一気にすごいことになりそうで、デハコスフロアのインバウンドに伸びしろを感じました。

これまで連載で何度かデパコスフロアに取材に伺い、華やかできれいで良い素材の品が集まっていて、パワースポットだと実感しました。つい節約しようとして安いコスメに走りがちでしたが、金運を上げたいなら時々デパコスのアイテムを取り入れるのが良さそうです。海外の観光客の、万単位の買い物に触発され、消費行動の後押しをしてもらった最終回でした。