【前編】歌心へのこだわりとは?デビュー15周年を迎えたヴァイオリニスト・宮本笑里さんにインタビュー

【前編】歌心へのこだわりとは?デビュー15周年を迎えたヴァイオリニスト・宮本笑里さんにインタビュー【十人十色の美衣食住】

DEPACO編集部
副編集長 秀島
2022/09/07

“十人十色の美衣食住”
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。

今回のゲストは14歳の時にドイツ学生音楽コンクールデュッセルドルフ第1位入賞ほか、デビュー前からもメディアに多数出演し、2007年「smile」でアルバムデビュー。その後も「情熱大陸」や「紅白歌合戦」に出演し、注目されるヴァイオリニストのひとりとして第一線でご活躍されている宮本笑里さんです。今年はデビュー15周年を記念したアルバム「classique deux」を発売されました。

01
ヴァイオリニストを目指されたきっかけはなんですか?

ヴァイオリンは3歳ぐらいから始めるのが当たり前の世界なのですが、私の場合は7歳と、とても遅いスタートで、漠然と趣味としてゆるりと始めた感じでした。最初はハープも気になっていてレッスンを見学したのですが、その時に一番穏やかな感じで指導されていた先生のご担当がヴァイオリンで、その先生に習いたいという思いが強くてヴァイオリンを選んだところもありますね。

当時ヴァイオリニストの五嶋みどりさんに憧れていて、その方みたいに上手に弾けるようになれたらいいな、とずっと思っていました。それに右手と左手を動かして音が出せるのだと子どもながらも発見があって、ヴァイオリンを弾くことをとても楽しく感じていましたね。あと、やはり当時オーボエ奏者だった父親の影響も大きいです。毎日オーボエの練習をしている姿や、大きなステージでライトを浴びてステージに立っているのを見て、すごくカッコいいなと思っていたので、私もいつかあの舞台に立ちたいと思っていました

02
プロになろうと意識されたのは、いつ頃からですか?

中学生の頃ですね。それも自分からというよりも父から「話し合いをしよう」と言われたのがきっかけで(笑)。ヴァイオリニストを目指されている方は、小さい頃から1日に何時間も練習するが当たり前なのですが、私はレッスン前にちょっと練習するような、のほほんとした感じでしたから。好きな曲を好きな時に弾くという私を見かねた父親が、「今のやり方は大人になった時に後悔するやり方だから、今から本気でやるか、辞めるか考えなさい。」と決断を迫られたんです。時期としては遅かったかもしれませんが、そのタイミングで「やるぞ!」って決められたので、私にとってはいいタイミングだったと思っています。

当時はドイツでインターナショナルスクールに通っていて、ヴァイオリンの練習だけでなく、英語の勉強時間も取らなければならなかったので、夜中の3~4時まで練習と勉強のどちらもやって、とても大変でした。それに、それまでの優しく褒めてくださる先生では足りないということになり、先生も変わりました。新しい先生は曲も一切弾かせてくれないという先生で、持ち方に問題があると言われて楽器を構えるだけという基礎的な部分を、とことん厳しくご指導いただいていました。みんなが遊んでいる時間や、遊びに誘われても断って練習するぐらいでなければプロになれない、と父親に言われていましたし、みなさんのように小さい頃から練習をしてきたわけではないので、ここでがんばらないとみんなに追いつけないという思いもあって、その時期は必死に先生に食らいついて、誰よりも毎日努力していましたね。

03
演奏される際に意識されていることがあれば教えてください。

作曲家が込めた思いなどを楽譜の内容やその時代の歴史を勉強して、自分なりに咀嚼(そしゃく)したことをヴァイオリンの音色として奏でるのですが、一人一人で捉え方が違うので、そこは魅力のひとつだと思います。私としては楽譜だけではなくて、いかに声に出して歌っているかのように聞こえる演奏ができるか、ということを意識しています。小さい頃から父親から教わってきたことでもあるので、“歌心”にはすごくこだわっています

演奏される際に意識されていることがあれば教えてください。

04
15周年を記念したアルバムはタイトルにも「classique」(クラシーク)とありますが、改めてクラシックの素晴らしさとはどのようなものでしょうか?

昔の時代を生きていた作曲家たちの曲が何百年経っても、こうやって現代でも愛され続けています。こんな音楽って、他にはないんじゃないかと思うのです。ポップスと比較してしまうとクラシックの方が歴史は長いですからね。当時のクラシックもヨーロッパではある意味、ポップスとして捉えられていたところもあるのです。そういった時代背景を少し知ることによって、曲を聞いていると知らなかった風景とかも浮かんできやすいのかなと思います。今では味わうことのできない歴史というものを肌で感じることができるのは、とても素敵じゃないですか。ヨーロッパでは古い建物が壊されることなく今も生き続けているので、実際に行ってみた時に感動しましたし、演奏する時にその当時をより想像しやすくなりました。あと、今では電車とかバスなどの交通機関で移動するのが当たり前ですけれど、昔の作曲家たちの時代は馬車で移動していたので、時間の流れも今とは全然違ったんじゃないかと思うのです。現代は“時間”に追われるようなところもありますけど、秒間隔ですら今とは全然違う時が流れていたと思ってクラシックを聞くと、ちょっとタイムスリップしたような気分になれるところも魅力だと考えています。

05
クラシックをヨーロッパで聞くと感じ方も違うのでしょうか?

それはあると思います。肌で感じる空気とか香りなど、目に見える情報によって今まで聞いていた曲がより豊かになる瞬間があると思います。日本にも美しい自然があるのでクラシックに合う場所もたくさんあると思いますが、やはり緑ひとつとっても雰囲気が違いますし、クラシックをヨーロッパで聞くと、ぴったり、しっくりして、“答え合わせ”ができたような気がします。作曲家たちが生活していて、そこから湧き出たものが音符となって、今私たちが演奏して音となっているのを聞くと、「こういう思いで見ていたのかな」と勝手に想像できるのも面白いんですよね

06
ヴァイオリンの音色も日本と海外では違うのでしょうか?

これが全然違うんです。とくに湿度が違うので。日本の夏は湿度が高くなるので楽器にとっても、演奏もとてもしんどい時期で、ジメっとした瞬間に音がこもってしまいます。かといって、乾燥しすぎても音が割れちゃうこともあるぐらい、ヴァイオリンってとても繊細な楽器なんです。でもジメジメしているよりはイタリアなどのカラッとした空気の中の方が、音はより大きく届きますね。空気が程よく乾燥していることによって、楽器も音が鳴りやすくなって遠くに届くので、いい音を奏でやすくなります。

ヴァイオリンの音色も日本と海外では違うのでしょうか?

07
演奏家としても活動を続けながら、ご家庭と両立されるのは大変だと思います。この15年間、ヴァイオリニストを続けてこられた秘訣はありますか?

秘訣は自分でも聞きたいぐらいです(笑)。周囲の方々のおかげで、何とかこんな私でもデビューさせてもらえて、いろんな経験も積み重ねることができました。一つ一つ濃厚な日々を過ごせたのも、周囲のスタッフをはじめファンのみなさんからの支えがないと、ここまで続けられていないと実感しています。

不器用ながらも日々を必死に過ごしているのですが、一応、毎日最低4~5時間は練習するようにしています。ただ娘が生まれた直後はそんなことを言える状況ではなくて、1歳になるぐらいまでは睡眠も取れないし、体力も全部奪われてしまうような感じで、弾こうという気持ちになれませんでした。でも10分だけ指を動かしてみたりとか、あんまり大きい音を出すと子どもが起きてしまうからどうしようとか、葛藤しながらもなんとか過ごしました。でも今は娘も8歳になって、逆に「ママ、練習したら」と言ってくれたり、家事や料理も率先して手伝ってくれるので、とても助かっています。

ただ、小さい頃からどんなに苦しくても辞めたいとか、絶対弾きたくないと思ったことは一度もないんです。それはヴァイオリンが自分の分身であり、ないと生きていけない大切な存在だから。小さい頃は口ベタで何もしゃべれないタイプだったのですが、ヴァイオリンを弾いているほうが自分の思っていることをそのまま伝えやすいと感じるところがあって、“生き物”のように話しかけていたのです。だから余計にヴァイオリンを通して自分の思いを伝えられたらいいな、という思いが大きくなりました。今でも言葉よりもヴァイオリンを通した方が、自分を全部さらけ出せると感じるほどです。それに変に頑固なところがあって、誘惑に負けたくないという性格も、ヴァイオリンを続けてこられた理由のひとつかもしれません。人前で演奏するとかは関係なく、死ぬまで、ヴァイオリンという存在と共に歩み続けたいと思っています。

08
宮本さんにとってヴァイオリンは分身的存在とのことですが、今使われているヴァイオリンとの相性はいかがですか?

今使っているのは300年ほど前に作られたものです。楽器にも相性があって、このヴァイオリンに辿り着くまでにも100本ぐらい弾き比べてやっと出あえました。年単位で使っていくうちに合うか合わないかが分かってくるのですけど、これは弾いた瞬間にピタっとくるパートナーに出あえたような感じがあって、有難い事にもう10年ほど弾かせていただいています。いろんな場所で演奏を積み重ねていくと、どんどん鳴り方が変わってきて、今はとてもお互いに分かり合えています。最初はお互い探り合いで、「全部出さないよ」というようなところもあってすごく難しいところもありましたが、最近はヴァイオリンが直ぐに応えてくれるようになりました。今でも演奏している途中で急に音が変わったと感じる瞬間もあったりして、楽器と共にどんどん成長している感じです。

<宮本笑里さんプロフィール>
14歳の時、ドイツ学生音楽コンクールデュッセルドルフ第1位入賞ほか、フジテレビ系ドラマ「のだめカンタービレ」にオーケストラのメンバーとして出演するなど、デビュー前からメディアに多数出演。2007年「smile」でアルバムデビューし、2008年よりコンサート活動を本格化。MBS系「情熱大陸」、NHK「紅白歌合戦」にも出演し、注目されるヴァイオリニストのひとりに。2022年7月、デビュー15周年を記念したアルバム「classique deux」を発売するなど、幅広く活躍中。11月~12月にかけて東京・浜離宮朝日ホール(11/22)など全4カ所の15周年リサイタルツアーを開催する。

宮本さんにとってヴァイオリンは分身的存在とのことですが、今使われているヴァイオリンとの相性はいかがですか?

後編では、宮本さんの美の秘訣についても伺いました。

編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/Suat Koylu、メイク/福島 加奈子

EDITOR

DEPACO編集部

副編集長 秀島

奥の深い音楽の世界。「自分の分身的存在」というヴァイオリンとのめぐり逢いから、日々の対話を楽しみ、ともに歩み続ける宮本さん。「クラシック」に対する愛が強く伝わってきました。後編ではそんな“音楽”と“美”の共通点についても伺いました!
肌悩み
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プロモーション歴10年以上、DEPACOの生みの親。ビューティ系企画~編集~広告~イベントまで幅広く携わる。経験とはうらはらに、百貨店入社をきっかけにデパコスに触れ始めた“保守派”でかつ、"自信はないけど少しはこだわりたい派"。趣味はアート&銭湯めぐり。

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