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【前編】グレイヘアに今、想うこと。フリーアナウンサー・近藤サトさんにインタビュー【十人十色の美衣食住】

DEPACO編集部
副編集長 秀島
2022/10/02

“十人十色の美衣食住” ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。

今回のゲストは元フジテレビアナウンサーで、退職後にフリーアナウンサー・ナレーターとして活躍。2018年に“グレイヘア”でメディアにさっそうと登場し、自然体で映る姿に注目が集まる近藤サトさんです。現在は低音で落ち着いた声質を生かしたナレーションや朗読だけでなく、趣味の着物の魅力も発信されています。

01
近藤さんが“グレイヘア”へ移行されようと思われたきっかけはどのようなことでしたか?

白髪って、個人差が本当に大きいですよね。私の場合は、30歳ぐらいで白髪が出始めました。初期はヘアマスカラのようなものでちょっとカバーする程度でしたが、30歳半ばには“白髪染め”をするように。自分の好きな色にカラーリングするというより、白髪を隠すために白髪染めをしていたので、「いつまで続ける?」「やめたい」という気持ちが常にありました
それにアレルギー体質なので白髪染めをするたびに頭皮が痛くなるなどの、肌トラブルが多かったので、そういった原因になっているものを全部やめられないかな、と思ったのもきっかけですね。でも、そんな簡単にはいかず、モヤモヤしながら続けていました。

そして東日本大震災の時に“白髪染め”を防災グッズの中に入れようとしている自分に気が付き、「そこまで追い詰められているのか?」「いやいや、ちょっと待てよ」と。“白髪染め”が「○○せねばならぬもの」なのかともう一度考えてみたら、「いや、必要ないな」と、スッと思えたんです。
その頃は40歳代だったので、周囲からはきっと反対されると思っていました。顔を出す仕事をあまりやっていなかった時期ではありましたが、いろんな方からご意見をいただきました。でも私は、自分で一回決めてしまうと、何を言われてもあまり気にしない性格。嫌な思いまでして、自分でなく周囲のために白髪染めをしている感覚になっていたので、“白髪染め”を卒業しようと決めました。

02
近藤さんご自身は、“グレイヘア”に対するさまざまなご意見に、どのようなことを考えられましたか?

“グレイヘア”にしようと思った時、きっとネガティブな反応しか来ないだろうな、という前提でいました。「劣化した」「老けた」などと言われることを想定していましたから、「よし来い!」みたいな感じで待ち構えていたぐらい。だから「いいね!」と言われたことの方が逆に驚きました
私と同じように多くの方が悩まれていたり、気にされていたのだということにびっくりして、みなさんの反応が面白いと感じました。母親からも「あなたが“グレイヘア”で私が黒髪にしていると、白髪染めしているのがバレるじゃない」と言われたりして(笑)。白髪に悩んでいた頃は、「もし大病して1カ月入院したら白髪が出てきてしまう。どうしよう…」なんて妄想していたぐらいでしたから、ちょっと強迫観念に近い感覚があったのかもしれませんね。そこまで苛まれていたからこそ、考え直した時に「あっ、染めるのをやめればいいのか」とストンとふに落ちたのだと思います。

私に対して「40歳代で白髪にするのはまだ早いんじゃないか?」とおっしゃる方もいました。そういうネガティブな反応は、ジャーナリスティックに社会現象として捉えていました。そのような反応がある日本社会においてジェンダー平等は、まだまだ時間がかかりそうだなとも、客観的に分析している自分がいましたね。でも私はそうではないステージに立ってしまったので、どんなことを言われても大丈夫。もともと流されないタイプなので、吹っ切れていましたよ

近藤さんご自身は、“グレイヘア”に対するさまざまなご意見に、どのようなことを考えられましたか?

03
近藤さんが“グレイヘア”をおすすめしたい理由。

20~30歳代の方にお話を聞くと、会社の上司とか女性の先輩方が定年間際になっても“白髪染め”をしているから、私もこの会社にいる限り60歳までは染めなければいけないのかと思ってしまうと言うんです。年齢にあらがっている先輩を見ると「私も将来そうなるのかな」と、気持ちが沈むこともあるとも。まわりにあまり多様性がないので、誰をお手本にしていいか分からないと感じていたようで、私の“グレイヘア”が彼女たちの選択肢を増やすきっかけになったと言われたこともあります。先輩のほとんどが染めていると知っているけれども、それを話題にはできない…。なんだか“白髪染め”をしていることは、触れてはいけないタブーになっていることもありますよね。

アジア人は一般的に黒髪の人種なので、特に白髪が目立ちます。これはアジアに限ったことなのかどうか分かりませんが、いろいろ調べたらこの問題って根深いようなんですよね。中国の漢の時代から白髪は“老い”とか“女性として用済み”みたいに言われていて、『長恨歌』でも楊貴妃だけが寵愛を受け、他の何千人という妃候補の人たちは顧みられず、どんどんと老けて白髪になってしまったと記されているぐらい。そんな昔から“白髪=女性として終わり”的に描かれていたんですね…。
でも今は白髪になったからといって終わりではないじゃないですか?50歳代で閉経したとしても、人生100年ですからまだ半分あります。「100歳まで白髪染めをしますか?」、ということで、だからこそ私は皆さんに“グレイヘア”をおすすめしたいんです。

そうは言ってもいろんな方がいて良いと思っています。私の仲の良い73歳の美容師さんは、「私は死ぬまで染めるから」と言っています。自由で良いし、30歳でも40歳でも白髪でいたい人がいても良い。お互いを認め合ってリスペクトすることが、多様性であり、ジェンダー平等やLGBTQの尊重にも繋がっていきますよね。このように考えられることが本当は理想ですが、現状ではまだまだそこには辿り着けていないと感じますね。

04
“グレイヘア”へ移行されるまで試行錯誤があったと思います。移行されるまでの過程の中で、どんなことに悩まれましたか?

最初は慣れ親しんだ美容師さんのアドバイスで、ヘアマニキュアとかグレイ系のカラーでなじませたりしてソフトランディングを目指していたのですが、全然進まない(笑)。白髪にしたいのに、染め続けるのと変わりがない。そこであえて美容室を変えてみることにしました。ほとんどコミュニケーションを取ったことがない美容師さんに「切るしかないですね」「何もしないで、ひたすら伸びるのを待つのが一番早いです」って、はっきりと言われて(笑)。それを聞いて「あっそうか。そうだよね。」って思えました。
それまではアップにできるぐらいの長さでしたが、新しい美容院に行ったその日にかなり短くカットして、白髪が伸びるのをひたすら待ちました。その時は、帽子を被ったり、TVに出演する時は洗い流せるヘアマニキュアなどを使って、隠して過ごしましたね。

「私もグレイヘアにしたいわ」とか「サトさんいいわね」と言ってくださる方も多くいらっしゃるのですが、明日“グレイヘア”になれるわけではありません。“グレイヘア”に移行するには1年ぐらいかかりますから、途中で諦めてしまう方も少なくなくありません。1年でも10~15cmぐらいしか伸びないので、ボブみたいに髪をおろしたスタイルだと、黒髪と白髪の区切りがくっきり目立ってしまいます。そこで、私は1年たったぐらいからアップスタイルにしました。アップにすると頭頂部の髪が出るので、なんとなく全体的に白髪がなじんで見えるのでおすすめです

“グレイヘア”へ移行されるまで試行錯誤があったと思います。移行されるまでの過程の中で、どんなことに悩まれましたか?

05
“グレイヘア”に移行したいと思われていても、なかなかその一歩を踏み出せない方も多いと思います。そんな方へ何かアドバイスがありましたら教えてください。

移行期はみなさん大変だと思うんです。私みたいに絶対“グレイヘア”にしようと思って始める人はまだしも、なんとなく“グレイヘア”にして私も楽になりたいわ、と気軽に考えていると「意外とこれは大ごとだ!」となり、もう一度染める方もいらっしゃるようです。

結構大変なんですよ。私は途中で挫折することは全然なくて、逆に白髪に慣れてしまったので、隠せなくなってきてしまいました。とはいっても奇異の目で見られましたけれど(笑)。髪の途中までが白髪の頭で普通に出かけていたので、「あの人大丈夫かな!?」みたいな目で見られていたような気がします。でも自分が慣れてしまったり、あとちょっとだな、と思うようになっていたので、気にはならなかったです。周囲の方は、私がただズボラなのか、何かあってのことなのか、分からないですからね。本来の髪を染めていない状態を見るまでは、私自身も分からなかったんですが、まだ後頭部なんかは黒髪のままです。今もひたすら白髪が出てくるのを待っている状態ですから(笑)。

06
“グレイヘア”に移行されてから、髪のお手入れ方法は何か変わりましたか?

もともとアレルギー体質ということもあって、何かを「足す」というよりは「引く」ということを心掛けています。最近シャンプーは〈アロマティカ〉のシャンプーバーにハマっています。洗い上がりも自然ですし、香りもいいんです。あとスカルプケアで気に入っているのはグウィネス・パルトローがプロデュースしている〈Juice Beauty〉のスカルプシャンプー。スペシャルケア的に週1回ぐらいのペースで使っています。ソルトが入っているところやナチュラルな心地良い香りが気に入っています。

体質や髪質などによるものだと思いますが、“グレイヘア”が人によっては黄ばんでしまう方もいるようで、美しい白髪をキープするのは大変なようです。私の周囲でも、きれいな白髪のためにわざわざブルー系に染めて、黄ばまないようにお手入れされている方がいます。みなさん後頭部だけはまだ黒髪のようで、あえてその部分だけブリーチする方もいるようです。“グレイヘア”も極めていくと、結構手間がかかることもあるようですが、私は基本ナチュラルでいこうと思っています

“グレイヘア”に移行されてから、髪のお手入れ方法は何か変わりましたか?

07
白髪と黒髪は何か違いはありますか?

私自身はあまり感じませんね。もともと剛毛かつクセ毛でツヤがない髪質で、ありとあらゆるストレートパーマをかけてきたぐらいですから、髪に関しての悩みは多かったです。W浅野の時代にもきれいなワンレングスとかにはできなくて(笑)。自分の髪質があまり好きではありませんでした

大学生の頃はバブル時代だったので、見た目、コスメ、ファッションなどへの関心だけで生きていました。当時はまだ美容整形がそんなに当たり前ではなかった頃だったのですが、ある時「自分の中で1か所変えられるとしたらどこを変えたい?」なんて友人と話していたんです。「二重にしたい」とか「鼻を高くしたい」という人がいる中で、友人に「サトは髪だよね」と言われてしまって(笑)。その頃、自分でも悩んではいましたけど、「みんな、実はそう思っていたのね??」って衝撃を受けました。そのくらい黒髪時代も髪に悩んでいました。

ストレートパーマの技術も今ほど進化していなかったので、思うようなワンレングスにはならないですし、じゃあショートヘアにしてパーマをかければいいかな、と思ってやってみたのですが、ダイアナ妃って言われて(笑)。ダイアナ妃はブロンドヘアだから、あのスタイルが素敵だったんですよね。悪い意味でお母さんみたいなヘアスタイルになってしまったこともあります。

ほんとに試行錯誤して、結局最終的に落ち着いたのはストレートパーマの技術がどんどん良くなってからでしたね。フジテレビに入社したての頃は、まだヘアアイロンがなかったので、ヘアメイクさんに1時間かけてブローしてもらっていたほど。わりと髪が長い時期が続き、普段はひとつにまとめていました。でもそれに飽きて突然ショートヘアにしたら、部長に呼ばれて「あんまり、急にそういうことをしないように」と注意を受けたこともあります。個人的には会社員なんだし、髪型ぐらいいいじゃない、と思って気にしていませんでしたね(笑)。

<近藤サトさんプロフィール>
フジテレビアナウンサーを経て、1998年に退社後フリーランスに。低音で落ち着いた声質を生かし、テレビやラジオを中心に情報・バラエティ番組のナレーションを担当。2011年には日本大学芸術学部放送学科特任教授としてアナウンス実習、朗読、卒業研究などを指導。2018年に“グレイヘア”でテレビに出演し、一躍脚光を浴びる。YouTubeチャンネル「サト読ム。」では朗読をはじめ、着物の魅力についても配信している。

後編では、近藤さんの着物や声で伝えることに対するこだわりについて伺いました。

編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/鈴川 洋平

EDITOR

DEPACO編集部

副編集長 秀島

いまやトレードマークとなったグレイヘアの近藤サトさん。はつらつとお話しされる凛とした姿に惚れ惚れしました。そのグレイヘアの背景には、奥深い社会課題や想いがあったと知るといろいろと私自身も考えさせられてしまいました…。
肌悩み
  • オトナニキビ肌
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  • すっぴん風+ワンポイントメイク
コスメの悩み
  • 母親ゆずりの頑固なクマ

プロモーション歴10年以上、DEPACOの生みの親。ビューティ系企画~編集~広告~イベントまで幅広く携わる。経験とはうらはらに、百貨店入社をきっかけにデパコスに触れ始めた“保守派”でかつ、"自信はないけど少しはこだわりたい派"。趣味はアート&銭湯めぐり。

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