【デパコス名鑑Vol.11】〈コスメデコルテ〉の大ヒット作、リポソーム美容液に迫る!
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コーセー創業者の思いが詰まった、高級ブランド
YAMACO(左):今回ご紹介する「リポソーム アドバンスト リペアセラム」は、私の肌に欠かせないアイテムです。仕事柄いろいろなスキンケアを試しますが、その前にこれだけは仕込んでおかないと!という感じで。ただ、「リポソーム」というのが難しくて、そのすごさを上手に説明できないもどかしさもあります。
藤永(右):簡単には説明できないですよね。私は2019年から〈コスメデコルテ〉に携わるようになって、改めて「リポソーム」を勉強したら、「なんてすばらしい技術なんだ!」と思って。深く知るほどに、未知なる魅力が詰まっているんです。
YAMACO:たくさんのコスメブランドを展開するコーセーの中でも最高峰ブランドである〈コスメデコルテ〉だからこそ生まれた、研究や技術の粋を集めた美容液ですよね。まずは、〈コスメデコルテ〉について、どんな思いが詰まったブランドなのか教えていただけますか。
藤永:1946年に、創業者の小林孝三郎が化粧品の製造販売を開始したのがコーセーのはじまりです。その創業者が、「真実の高級品をつくり、誇りある美を世界中へ。」という思いで1970年にスタートさせたブランドが〈コスメデコルテ〉。使い心地やデザイン、カウンセリングなどさまざまな点においてコーセーで最高峰となる特別なブランドとして、50年以上その精神を脈々と受け継いでいます。
YAMACO:創業者の肝いりブランドなんですね!
藤永:戦後の生きていくだけで大変な時代でも、女性たちの美しくなることへの欲求を感じたそうで。コーセー創業当時、「化粧品は贅沢品」と言われましたが、人々をとても幸せにできるものであるし、そうなれば世の中が明るくなる!という思いを込めて、長年の構想をカタチにしたんです。
YAMACO:人を幸せにするための化粧品だから、使い心地のよさにもこだわられているのでしょうか。〈コスメデコルテ〉のコスメは、スキンケアはもちろん、アイシャドウやチークといったポイントメイクでも、肌に溶け込むように心地よくなじむものが多いと感じています。
藤永:私たちは、その使い心地のよさを「官能品質」と表現しています。スキンケアなら、"みずみずしい""ベタつきにくい"など、肌効果だけでない、化粧品を使ったときの情緒的な体験価値も大切にしているんです。
それと同時に、イノベーションも大事にしていて。コーセー研究所では、最先端(※1)の皮膚科学を研究しており、"化粧品業界初"(※2)を数々生み出しています。そのコーセー研究所のなかでも最先端であり、革新的な技術を結集したのが〈コスメデコルテ〉。厳選した原料や先端技術を惜しみなく使っているんですよ。
YAMACO:"化粧品業界初"(※2)と言えば、リポソーム美容液は業界で初めて「リポソーム」を標榜することを認められましたよね。
※1 コーセー内において
※2
1975年 美容液「アルファード R・Cリキッドプレシャス」発売
1976年 パウダーファンデーション「フィットオン」発売
1979年 水乾両用ファンデーション「2ウェイケーキ」発売など
02
「リポソーム」とは、美肌に導くカプセルのこと
YAMACO:この美容液があまりにも大ヒットしていて、「リポソーム」という言葉自体は、耳慣れたものになってきました。けれど、それが何なのかは、私も含めて理解しきれていない方が多いのではないでしょうか?
藤永:私たちが今では「多重層バイオリポソーム」と呼んでいる、いわゆる「リポソーム」は、リン脂質(※)などから構成される二分子膜から成るカプセル構造体のことを指します。カプセル内がたまねぎ状に重なる層になっていて、その層に美容成分を内包しているのが「多重層バイオリポソーム」です。
コーセー研究所は、もともとカプセルテクノロジーが得意でして。いろいろなカプセルを研究・開発して、コスメに取り入れています。なぜかというと、せっかく良い成分を配合しても肌表面に残ってしまい、肌(角質まで)に浸透していないと効果が発揮されないから。"どうすれば肌の必要な場所に、必要な成分を届けられるか"を研究して、たどり着いたのがカプセルテクノロジーなんです。
※リン脂質(水添エチレン)(保湿成分)
YAMACO:なるほど、化粧品では、つい配合成分をチェックしがちですが、スキンケア成分が必要なところに届かなければ意味がないですもんね。
ところで、さまざまなカプセルテクノロジーがあるなかで「リポソームを使おう!」となったきっかけは、何だったのでしょうか?
藤永:もともと「リポソーム技術」は、さまざまな分野で注目されていたものでした。実は、とある研究員が間違って参加した講演会で、その存在を偶然知ったとか。これを、別の研究員に共有したところ、"キャリア(運搬役)になるカプセル"と"きれいな多重層構造"ということに魅せられ、化粧品に応用しようと取り組みが始まりました。開発に約8年かけ、初代「モイスチュア リポソーム」が完成したのが1992年。当時、化粧品として「リポソーム」を標榜するには、今で言う厚生労働省の厳しい基準があったのですが、唯一「リポソーム化粧品」として認められた製品になりました。
YAMACO:それだけ難しい研究だと、苦労も多かったでしょうね。
藤永:多重層のカプセル構造をつくること自体が、もちろん大変でして。それに加え、長期にわたる安定性をもたせるのが難しかったと聞いています。「リポソーム」のサイズである0.1ミクロンというのは、1mmのさらに1万分の1の小ささ。それを化粧品のなかで安定させるのは、とてもハードルが高いんです。一つひとつがきれいな球状になっていて、たまねぎ状の層がぎっしりと詰まっていて…という状態じゃないと、私たちは合格点を出さないので。
YAMACO:ストイックに自らハードルを上げたからこそ、この名品が誕生したんですね!
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「リポソーム」のカプセル構造が叶える、長時間保湿
YAMACO:では、「リポソーム」が多重層であることのメリットについて教えてください。たまねぎを輪切りにしたときの図を思い浮かべながら(笑)、伺っていいですか?
藤永:たまねぎ状の一層一層に、スキンケア成分が内包されています。それが、肌表面から角質層まで浸透していくなかで、時間をかけて一層、また一層とほぐれて、スキンケア成分がじわりじわりと放出される。そのため、長時間うるおいが保たれるというわけです。
YAMACO:たまねぎの層を一枚ずつむいていくイメージで、そのたびにスキンケア成分がジワっと出てくるのは、長時間保湿を考えると、とても理にかなっていますね!うるおいを与える成分だけでなく、うるおいの与え方に着目しているというのがさすがです。
藤永:そうなんですよ!そしてもっとすごいのが、カプセル内の各層にスキンケア成分を内包しているだけでなく、カプセル自体の美容効果も高く、つけた瞬間から肌に成りかわるように溶け込み(※1)、ダイレクトに肌を美しくします。〈コスメデコルテ〉の「リポソーム」のカプセルは、生体組成成分であるリン脂質(※2)を主成分として構成していて、健康な皮膚に見られる細胞間脂質のラメラ構造に働きかけることができます。
※1 角質層まで
※2 リン脂質(水添エチレン)(保湿成分)
YAMACO:肌のうるおいのためにできることを、目一杯詰め込んだ感じですね!
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より高濃度に、より低刺激にリニューアル
YAMACO:1992年に発売された「モイスチュア リポソーム」は、29年間もレシピを全く変えずにいたロングセラー美容液でした。それだけ完成度が高かったものが、2021年にリニューアルして「リポソーム アドバンスト リペアセラム」に進化したわけですね。
藤永:29年経つと、生活や肌環境、ニーズが変わります。その変化のなかで、初代のままでは満たしきれないものもあってリニューアルしました。「リポソーム」のテクノロジーは、まだ解明していない部分もあり、未知なる魅力にあふれている。とはいえ、アップデートには大変な労力が必要だったので、社運をかけた一大決心でした(笑)。
YAMACO:〈コスメデコルテ〉では、「前作を超えると確信できたときだけ、刷新する」という精神があるそうですね。
藤永:そうなんですけれど、実は私自身は、もっと厳しい基準を設けていまして。前作を超えるだけではダメなんです。たとえば他社に前作を超えるものがあったら、私たちがあえて作る必要はないと思うのです。世界中で〈コスメデコルテ〉だけにしかないものにしないと。ですから、とても細かく評価軸を設定して、「ナンバー1でオンリー1を叶えられる」と納得したのが「リポソーム アドバンスト リペアセラム」です。
YAMACO:具体的には、どのように進化したのでしょうか?
藤永:新たに「多重層バイオリポソーム」を開発し、より高濃度に配合できるようにしたんです。なんと、この美容液では1滴に1兆個(※)ものカプセルが入っているんですよ。ほかには、年を重ねた肌をうるおいで満たし、ハリツヤを与えるエイジングケアも行えます。
※1滴0.1mLとして算出(概算値)
YAMACO:低刺激設計というのも、うれしいですよね。毎日使いたくなるアイテムです。美容液って年齢に合わせて変えていくイメージがあったのですが、「リポソーム アドバンスト リペアセラム」は年代も問わずに愛されている印象があります。
藤永:臨床試験をしてみると、私たちが当初想像していた以上の肌効果がたくさんありまして。肌にうるおいやハリを与えるのはもちろん、乾燥による小ジワを目立たなくしたり(※)、キメを整えて肌をなめらかにしたり。年齢により変化するさまざまな肌悩みに応えられるから、いろいろな年代の方にフィットするんです。それでいて、低刺激タイプで、オイルフリーのため使った後のベタつきも少なくて…と、使い心地のよさにもこだわっているので、肌質やジェンダーも問わずに愛されているのだと思います。
※効能評価試験済み
YAMACO:百貨店での売上げも群を抜いていますし、この紫の小瓶を、コスメ関係のメディアで何度目にしたことか…!
藤永:おかげさまで、雑誌やWEBなどのメディアでたくさんのベストコスメを受賞しています。発売から1年半ほどで、110冠(※)くらい。
※2023年2月末時点の受賞総数
YAMACO:とんでもないモンスターコスメですね(笑)!
05
同シリーズに、クリームとアイセラムも登場
YAMACO:昨年、2022年には「リポソーム アドバンスト リペアクリーム」が登場して、これも話題をさらいましたよね。
藤永:研究員も「続くヒット商品を!」と、脈々とリポソーム研究を続けるなかで、ようやく完成したのがこのクリームでした。「リポソーム アドバンスト リペアクリーム」には、睡眠中の肌状態のことを考え抜いて開発した、美容液とは異なるカプセル「ナイト多重層バイオリポソーム」を配合。睡眠不足でも3時間多く眠ったようなハリツヤあふれる肌に導きます。オイルリッチなクリームなのに肌へのなじみやすさも魅力です。
YAMACO:そして2023年3月には、目元美容液「リポソーム アドバンスト リペアアイセラム」が発売されました!
藤永:アイセラムには、美容液と同じ「多重層バイオリポソーム」に加えて、新しく開発した「ナノバイセル」というカプセルを配合。それぞれのカプセルに異なる美容成分が入っているので、美容液と美容液をふたつ合わせたような状態で、目元をしっかりケアできます。ちなみに、ふたつのカプセルを合わせて、1滴に1.6兆個(※)が入っているんですよ!
※1.6兆個は1滴0.1mLとして算出(概算値)
YAMACO:想像しただけで、すごい!またもや革新的なカプセルテクノロジーが取り入れられていて、その進化から目が離せませんね。
藤永:リポソーム研究を続けるなかで、みんな新しいチャレンジをするのが楽しくなってきていて。私たちのように歴史が長いブランドは、ともすれば保守的になりがちなんですけど、今では常に新しいことをしようという精神が一人ひとりに息づいているんです。なので、これからのチャレンジにも、ぜひご期待ください!
EDITOR
DEPACO編集部
エディター YAMACO
入社後1年半、コスメのセレクトショップ「アミューズ ボーテ」で接客担当として勤務。「毎日イメチェン」をモットーに、メイクもヘアも気の赴くままにコロコロ変えるのが好き。特にビビッドカラーのコスメにときめく。趣味は音楽を聴くこと、太陽の光を浴びること。
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デパコスの中でも「名品」と呼ばれる一品には、長い間人々に愛される理由がある。DEPACO編集部が、"愛されコスメ"の誕生秘話や進化ポイントなどをブランドのキーマンにインタビュー。その秘密に迫ります。
第11回は、〈コスメデコルテ〉の代名詞といえる美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」。
"お守りスキンケア"として愛用するYAMACOが、株式会社コーセー DECORTÉ事業部 ブランドマネージャーの藤永あすかさん(以下、藤永)に、お話を伺いました。