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【前編】染織家から食の世界に。連日行列が絶えない人気店となったパティスリィのこだわりとは?パティシエール・岩柳麻子さんにインタビュー〈十人十色の美衣食住〉

DEPACO編集部
エディター 高梨
2024/05/08

“十人十色の美衣食住”
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。

今回のゲストはパティスリィ「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」のシェフパティシエール岩柳麻子さんです。完全予約制の看板メニュー「パルフェビジュー®」の新作考案に対するこだわりやスタイリッシュなお店のコンセプト、また趣味や愛用品に対する想いについて伺ってきました。

01
もともと染織を学ばれながら、食の世界に入った経緯を教えてください。

服飾の専門学校で染織を学んでいてその課題がたくさんあり、資材や画材を買うために惣菜店でアルバイトをしていました。
染織って、展示会をやるとなるとひとつの作品を2~3カ月かけて制作するので、完成する頃には作品を見たくないほどになるんです。
一方、アルバイト先はオーナーが毎日新しいメニューを作るおいしい惣菜店で、たくさんの量の惣菜が1日で完売してしまう。このスピードやライブ感がどんどん楽しくなっていきました
それに食べ物は「口に入れたら全部なくなってしまう」という特徴も好きで、“食”は案外私に合っているんじゃないかと思い、この世界に入りました。

もともと染織を学ばれながら、食の世界に入った経緯を教えてください。

02
料理ではなくお菓子を選んだ理由はありますか?

クリエイティブなものなら何でも良かったんですけど、趣味として家でお菓子を作ってみたら、家族に喜んでもらえたので…。若い頃は徹夜も平気で、眠れない時は深夜から作り始めて明け方に出来上がる、みたいなことをしていたんです。
食の世界であれば、料理でもお菓子でもこだわりはありませんでした。惣菜店の後に働いたアイリッシュ料理店では、決まったレシピがあったので料理もスイーツも作っていましたし、もう少し勉強したいと思って料理研究家のアシスタントをしたこともありました。
その後、知人の紹介で新しくオープンするカフェのスタッフとして働くことになり、メニュー全般を考えることになったんです。その店はヨーロッパのアンティーク家具を扱っていたので、料理やお菓子もヨーロッパ風のものを意識して、これまでの経験や洋書の料理本を参考にしてメニューに取り入れました。
でも現場でいろいろ作っているうちに、お菓子作りには化学的な技術が重要だと気づいたんです。料理は感覚である程度は作れるのに、お菓子は違うなと違うからこそ余計に興味が湧いてきて、これは本気で学ばないといけないと思うようになってハマったのがきっかけです。

料理ではなくお菓子を選んだ理由はありますか?

03
お菓子作りは独学だと伺いました。現場でスキルを積むのは難しくありませんでしたか?

染織の学校に行かせてもらったので、さらに親に別の学校に通わせてほしいとは言えなかった…。なので飲食店でアルバイトをしながら経験を積みました。
お菓子作りはとにかく失敗が多かったんですが、現場で学びながらお客さまに提供するとその反応がすぐに見られましたし、それを共有できるリアルさを感じられたので、素晴らしい世界だなと思いました。
仕事場には製菓学校に通う人や、辞めてしまおうとする人もいて、そんな仲間から教材を譲ってもらい、現場や自宅でお菓子を作っていました。飲食店に居ながらにして、学校で習うようなことを自然に覚えられたり、お菓子作りに関することを自ら学ぶ時間がとにかく楽しかったです。

お菓子作りは独学だと伺いました。現場でスキルを積むのは難しくありませんでしたか?

04
お菓子作りで大切にされていることはありますか?

以前に働いていたお店では、製菓学校にも行っていないし、有名なパティシエの下で働いたわけでもなかったので、何か尖らなきゃいけないと思って、変わったことをしていたんです。
でも自分の思い込みだけで作ったものは凝りすぎたり、当時お酒が好きだったこともあって、お酒に合う濃厚で、他の店にはないケーキを作ったりしてみたりで、あまり人気がありませんでした。
その経験から、向き合った方が食べたいものを提供することが、その人にとって一番おいしいものなんだと学びました。やっぱり求められるものを作ることは楽しいですよね
お年寄りから子どもまで喜んでもらえることが住宅街にあるケーキ屋さんの在り方だと思うので、この店だけでなくどんな仕事でも、誰にどんなシチュエーションで食べてもらうのかを大切にしています

お菓子作りで大切にされていることはありますか?

05
ケーキのデザインやネーミングのインスピレーションはどこから得られていますか?

ケーキは季節ごとのイベントに合わせたスケジュールがあるので、その時期から逆算して考え始めます。
例えばクリスマスケーキだったら、今が真夏だったとしてもその年のクリスマスをイメージしながら通勤したり、クリスマスに聞きたい音楽やInstagramを見たりして、朝から晩までさまざまなジャンルからクリスマスに関する情報をインプットします。
インプットが足りないとアイデアも出てこないので、とにかくインプットを続けるんです。まず手を動かしてみようと思う時もありますし、何か浮かんだ時にはメモしたりしながら、デザインを絵に描きます。
真っ白な紙を見ると、手を動かしたくなるんですよね。喋るだけだと忘れてしまうので、スマホのメモや裏紙とかに書き留めておくことは、割と大事な作業です。あとでスタッフに共有しないといけないので、とにかく書き残すようにしています。
ケーキのネーミングは日々の生活の中や、自分が持ってる言葉の引き出しの中から浮かぶ感じでしょうか。あんまり特別なものを見てとか、見たことも聞いたこともないようなところから研究したり、探し出したりはしていません。

ケーキのデザインやネーミングのインスピレーションはどこから得られていますか?

06
2015年に「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」をオープンされました。スタイリッシュな店内ですが、どんなコンセプトをお持ちでしたか?

まず看板がない店にしようと思いました。店には必ず看板ってありますよね?その店に入る初めてのきっかけにはなりますが、2~3回と行くうちに看板なんて見なくなる。その店に何があるのかが分かれば看板がなくてもいいんじゃないかと思って、外からも店内が見えるようにガラス張りにしました。
お客さまが外から見た時にケーキがショーケースに並んでいるシチュエーションを見たらケーキ屋だと気づいてもらえます。どんなお店なんだろう、とちょっと好奇心をくすぐられてフラッと入ってきてもらいたかったんです。
店前の通りは車が通らないですし、線路沿いなので、たまに信号待ちなどで電車が店の前で止まったりすることがあると、車中の人からも店の中が見えるんです。
「何のお店だろう?」「いつかその駅に降りたら行ってみようかな」と思ってもらえるような、街になじんでいる店にしたかった。
静かに暮らしている近所の方の邪魔にはならないけど、なんだか光って見える、店舗全体が看板になっているような店構えを意識しました
内装は、お客さまとお菓子、働いている人が一番際立つような空間にしました。美術館の何もない無機質な感じが、逆に絵画の素晴らしさをひき立てているように
最初は白を基調にしようと思ったんですが塗装することになりますし、木を基調にしたときの木材の量や耐久性、色の変化を考えると、もう少し素材そのものを生かせるほうがいいと思いました。なので、石やセメント、布など、素材の違いで色の幅があるグレーを基調にしています。お菓子の器具や冷蔵庫もステンレスでグレーですしね。

2015年に「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」をオープンされました。スタイリッシュな店内ですが、どんなコンセプトをお持ちでしたか?

07
ユニフォームに何かこだわりはありますか?

何百年も続くようなメゾンの職人が白衣を着て作業をしている動画を見たことがあって、とても素敵だったんです。店のユニフォームもそんなイメージにしたいと思ってシンプルな白衣にしました。スタッフ全員同じに見えてしまうので、私の白衣にだけ胸にイニシャルが入ってます。

髪に巻くバンダナも私は昔からこのスタイルなので簡単にできるんですが、新しく入ったスタッフは巻き方を先輩にレクチャーしてもらっていますよ。コック帽は自分の中では少し偉そうなイメージがあったので、何かほかのスタイルにしたくて三角巾とバンダナを使ったこのスタイルになりました

ユニフォームに何かこだわりはありますか?

<岩柳麻子さんプロフィール>
服飾学校で染織を学んだ後、飲食店でのアルバイトをきっかけに食の道に。独学でパティシエールとしての技術を身に付け、2015年には自身の名を冠した「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」をオープン。女性雑誌の特集がきっかけで誕生した“宝石のようなパフェ”「パルフェビジュー®」が脚光を浴び、全国から多数のファンが訪れるお店へと成長。2018年10月には隣の敷地に「ASAKO IWAYANAGI PLUS」、2021年10月には同エリアに「ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉ」をオープン。自身の理想を追求すべく、日々厨房に立ち続けている。

後編では、岩柳さんの新作パルフェの考案方法をはじめ、趣味や愛用品について伺いました。

編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/鈴川 洋平


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EDITOR

DEPACO編集部

エディター 高梨

岩柳さんが作り上げるスイーツは美味しいのはもちろんのこと、本当に美しく芸術的。インプットしないとアウトプットできないという考え方に共感したと同時に、人気スイーツを生み続ける秘訣を聞けた気がしました。
肌悩み
  • シミ・たるみ
好きなメイク
  • 素肌風ベースにリップしっかりめ
コスメの悩み
  • メイクの引き算が難しい

旅行誌の出版社で編集職を10年以上経験。出産を機にキャリアを見つめ直し、今後は大好きな美容の情報発信をしたいという想いでDEPACO編集部へ。美容はスキンケアやベースメイクでの“土台作り”が好き。趣味は旅と料理。

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