

【前編】岩渕真奈さん(元なでしこジャパン)にインタビュー!ピッチ上の選手にしか見えない景色があるから。選手の“良さ”を伝える解説者でありたい〈十人十色の美衣食住〉

01
現役を引退されてから2025年現在、2年ほど経ちましたが、運動や食事などにどんな変化がありましたか?
常に走っていた日常から、走らない日々になったことが一番大きな変化ですね。
仕事で子どもたちとサッカーをするとか、選手の引退試合に呼んでいただく機会はありますが、自発的にサッカーをする機会はもうほとんどありません。運動しなくなって寂しいというよりもラクですし、1ミリも動きたくないと思っているので、試合の解説をしている時は選手を見て、元気だなぁ、すごいなぁと思っています。
食事面では現役時代は食べなきゃと強く思っていたので、好きなものをできるだけ食べるようにしていました。今はバランスを考えて摂るようにしたり、甘いものを控えたりするぐらいで、あまり意識していないです。
前より運動量が少ないので、食べ過ぎないように1日2食にしています。

02
心境的に変化したことがあったら教えてください。
これまでは自分がピッチに立っていたのに今は観るようになって、本当に何かを一生懸命にやっている人ってカッコいいなと思うようになりました。あと試合の解説などでサッカーを客観的に語る場が増えたので、改めてサッカーを勉強しないといけないと感じています。
正直、寂しさはまったくないんです。優勝している選手を見ると羨ましくはなりますけど、もう一度サッカーをやりたいという気持ちとは違いますね。
サッカーに何かしら関わっていられたらいいと思っているので、現状ぐらいの距離感がちょうどいいです。

03
試合の解説もされていますが、コメントで心がけていることはありますか?
現役時代は解説の仕事に興味はなかったんです。それはピッチの外にいる人に私のサッカーを語られるのがイヤだったから。
ピッチに立つという、その場を経験した人しか語れないと思っていましたし、その時の選手にしか見えない景色って絶対にあると思っているので、プレイについて批判するようなことを言いたくありませんでした。
実際に解説をするようになってからは、自分なりの伝え方を考えたり、選手の良さを知ってもらえるような解説を意識しています。最近、なんとか慣れてきましたが、これからも“良さ”を伝えるコメントができる解説者でありたいですね。
サッカーは監督が代わればプレイスタイルも変わると思います。代表監督は選手を選ぶことができますが、リーグチームの監督は所属している選手で戦わなければならないし、監督や選手ごとにサッカー観の違いはあります。
そんな中でも私は現役時代、自分のプレイスタイルを理解してくれる人が周りにいてくれるチームが多かったので、“自分らしさ”はどのチームでもある程度は出すことができたと思っています。
今、あまりに上手くいってない試合を見た後は、監督になったかのように戦術を考えることもあります。別に監督業をやりたいわけではないんですけど、良くなるために考えることは好きです。
でもそれは自分のサッカー観のエゴだと思いますし、ピッチに立っている選手がすべてなので、偉そうに言うつもりはありません。

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後輩の現役選手に対して思うことはありますか?
2011年になでしこジャパンが優勝した時のチームを振り返ると、個性ある人たちが団結したことで、すごい力を発揮したんだと思うんです。
それぞれの個性を出しあえるチームになってほしいので、人とは違う自分の武器は何なのかを考えて、発揮してくれる選手がたくさん出てきたらうれしいです。

05
子どものスポーツ活動を支援する「スマイルコンパス」というプロジェクトに参加することになったきっかけは?
オリンピックの強化選手たちが利用できるJOCのトレーニングセンターの中にリハビリ施設があるんです。現役時代にそのリハビリ施設に通っていた時、登坂絵莉さん(レスリング金メダリスト)もリハビリに来ていたんです。
登坂さんはなでしこジャパンを目指したかったというほどサッカーが大好きで、私のことを応援してくれていることは人づてに聞いていたので、初めましての時から熱量が高くて、そこから仲良くしてもらっています。
穂積絵莉さん(女子プロテニス選手)は登坂さんと名前の“絵莉”が一緒ということがきっかけで友達になったようで、登坂さんに紹介されてから3人で食事に行くようになりました。
穂積さんは現役なので半年に1回ぐらいしか会えない中、いろいろ話していくうちにスポーツ選手に触れ合う機会が少ない障害がある子や離島に住んでいる子に向けて、人生を豊かにするお手伝いというか、一緒に何かしたいと思うようになって、このプロジェクトを3人でスタートすることになりました。

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子どもたちに接して、どんなことを感じますか?
さまざまな仕事の中でも、この活動が好きなんです。支援学校や養護施設などに行くんですが、どの場所でも喜んでもらっています。
普段は落ち着きがなく動き回ってしまう子どもたちが一生懸命にサッカーやレスリングの教室に集中して取り組んでくれたり、オリンピックのメダルを喜んでくれたりして、この活動を通してたくさんの方の笑顔が見られて、本当に充実しています。

07
改めて感じるサッカーの魅力を教えてください。
一人ではできないスポーツの中でも1得点の重みがあるスポーツで、全員が全力で守って攻めるのはサッカーならではの魅力だと思います。
パスひとつとっても相手の特徴に合わせて出すので、思いやりのあるスポーツでもあります。
チームメイトとは毎日顔を合わせるので家族のようでもありながら、人間同士なので仲が良い人もいれば悪い人もいます。
でもピッチに立ったら“勝つ”という目的があって、それに向けて日々練習し積み重ねていくことの大切さをサッカーから学びました。
今の自分があるのは、いろんなことにチャレンジしていける環境で成長させてもらったからだと、引退してから改めて感じています。
頻繁に会う機会はなくても友達の大半はサッカーを通じて出会った人ですし、仲間との出会いという意味でも、サッカーをやっていて良かったと思います。
このユニフォームは最後のなでしこジャパンで着ていたユニフォームです。時代によってモデルが違うので、ユニフォームを見るとその当時にあったことを思い出しますね。
歴代のユニフォームは実家に置いてあるんですけど、このユニフォームを着て、本当にかけがえのない素晴らしい経験をさせてもらったと思っています。

あとこのボールはサッカーボールの初代のモデルらしくて、デザインもカワイイし、家のインテリアにも合うと思ったので友人から譲ってもらいました。家の中でコロコロ転がしたり、たまに壁に向かって蹴ったりしながら生活しています。

後編では、岩渕さんのファッションやスキンケアに対するこだわりや愛用アイテムついて伺いました。
<岩渕真奈さんプロフィール>
2005年に日テレ・メニーナ入りし、2008年にトップチームの日テレ・ベレーザに昇格。同年、U-17女子ワールドカップに出場して活躍し、大会MVPを獲得して世界的に脚光を浴びる。2010年にはわずか16歳でなでしこジャパン入り。U-20女子ワールドカップにも出場する。翌年はドイツ開催の2011年女子ワールドカップに出場し、世界の頂点を味わう。2012年ロンドン五輪、2015年は女子ワールドカップ・カナダ大会にも出場し、チームの銀メダル獲得に貢献。所属クラブは2012年にドイツのホッフェンハイムに移籍。以降、バイエルン・ミュンヘン、INAC神戸レオネッサ、アストン・ヴィラ、アーセナル、トッテナム・ホットスパーでプレイし、2023年9月に現役引退を発表。現在は解説者をはじめ、子どもたちにスポーツの体験や喜びを通して、人生をより豊かにしていくプロジェクト「スマイルコンパス」に参加するなど、幅広いジャンルにチャレンジしている。
編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/鈴川 洋平
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EDITOR

DEPACO編集部
エディター 高梨
旅行誌の出版社で編集職を10年以上経験。出産を機にキャリアを見つめ直し、今後は大好きな美容の情報発信をしたいという想いでDEPACO編集部へ。美容はスキンケアやベースメイクでの“土台作り”が好き。趣味は旅と料理。
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“十人十色の美衣食住”
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。
今回のゲストは、中学進学時からサッカーのクラブチームに入団。2008年にはU-17W杯でMVPを獲得し、16歳でなでしこジャパン入り。2011年W杯優勝、ロンドン五輪・2015年W杯では銀メダル獲得に貢献。日テレ・ベレーザからドイツやINAC神戸、イングランドの複数クラブで活躍後、2023年に引退し、現在は解説や子ども向けプロジェクトで幅広く活躍されている、岩渕真奈さんにお話を伺いました。