【十人十色の美衣食住・後編】元女子体操オリンピック日本代表・田中理恵さんにインタビュー!
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YouTubeでストレッチやトレーニング方法を発信されていますが、どんなことがきっかけで始められたんですか?
体操って、ひねって回ったりする時、体をギュッと丸くしますし、演技や逆立ちをしている時も常に背中は丸くしているので、クセになってしまうことがあるんです。それに出産してから子どもを抱っこする時に背中が丸くなっていたり、肩甲骨が痺れて腕が上がらなくなったこともありました。私はまだ添い寝をしているので、寝ている姿勢が悪いこともあって、みなさんには少しでも背中を丸めない生活をしてもらいたいと思ったことがきっかけでYouTubeを始めました。
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ボディメイク初心者へのアドバイスはありますか?
まず肩甲骨を意識して欲しいと思っています。肩甲骨が整っていると、肩の血流もよくなるし、背中のたるみがなくなってくるんです。背骨が丸くなって下を向いている姿勢になると、首にも負担がかかりますし、気持ち的にも落ちてしまうので、肩甲骨を整えて、できるだけ正しい位置でいることを大事にして欲しいですね。肩甲骨が整うと、自然に股関節も上がってきますし、二の腕も変わってきます。肩が内側に入ると、腕にも肉がつきやすくなるので、鎖骨を左右に引っ張るように肩を開いたり、大げさに言うと、左右の肩甲骨をくっつけるようなイメージでいると、背筋も伸びて気分も晴れると思うんです。それに背中が丸くなると、体の前側の部位をはじめ、すべてが垂れてくるので(笑)、常に上に引き上げるような気持ちを持つように、まずは一番大事な肩甲骨に意識を向けてみてください。
それから、ボディメイクやダイエットを頑張っているみなさんにお伝えしたいことがあって、1週間で何kgも痩せようとか細くするとか、無理をして欲しくないんです。短期間で結果を出そうとすると食べない日がでてきたりして、それがホルモンの乱れに繋がって、しんどくなったり、リバウンドしてしまったりするので、本当に変わりたい時には、せめて2か月は様子を見るようにして欲しいですね。その我慢との勝負で、自分の体型が変化した時はめちゃめちゃ喜びがあるので。その2か月の間も増えたり減ったりすると思うんですけど、常に自分の体と向き合いながら頑張って欲しい、って思います。増えてしまう時期はあるんですけど、そこを乗り越えたらちょっとずつ減ってくるので、あきらめないことが大事です。
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昨年は久々に体操の演技をされたり、YouTubeチャンネルでも大車輪をされていましたが、今でも簡単にできるんですか?
昨年24時間テレビの“1日現役復帰”という企画で演技をしたんですが、改めて体操って危ない競技だな、と実感しました(笑)。というか、継続がとても大事な競技だなと感じました。ちょっとした事故に合ったような全身打撲的な筋肉痛になるくらい体がびっくりしたので、そこはやはり継続ってすごいなと思いました。
でも、YouTubeでの大車輪は意外と簡単にできましたね。以前よりも体重は減っているので、回れたなって感じですけど。でも筋肉は減ってますから、体重が増えていたら、痛いところだらけだったと思います。それでも次の日は筋肉痛ですよ。体の前側全体が筋肉痛になりました。
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昨年より体操クラブもスタートされました。体操人生を通して学ばれたこと、また伝えていきたいと思われていることはどんなことでしょうか?
田中体操教室を始めたきっかけは、田中家で私たちが育ってきた教育や両親からの教えを次に繋げたい、いろんな子どもたちに伝えたいという気持ちがすごく強くなったのと、ちょうど兄も仕事の区切りがついたタイミングでもあったので、3兄妹みんなでやろうよ!ということでスタートさせてもらったんです。
子どもたちには体操をすることで人間性とか、協力し合うことなど、すべてを学んで欲しい。そして体を動かすことの楽しさも知って欲しいですね。何が正しいかは分かりませんが、それこそ田中家流です(笑)。体操をずっと続けるのもいいんですが、体を動かしていく中で、サッカーでも水泳でもいろんな競技に興味を持てるような子どもたちを育てていきたいな、という想いがあります。
体操は前回りや後ろ回り、側転も左右対称の動きなので、体幹が整っていく競技でもあるんです。体操でも他の競技でも体幹は大事なので、それを楽しみながら自然に鍛えられるのが体操の魅力。今の教室は2歳から小学校6年生まで教えているんですが、体を動かすことの大切さや、体幹、バランスなど体の基礎となる部分を鍛えることを目指しています。中には新体操とかチアをやっていて、チアの中でバック転を覚えたいという子どもたちもいます。また2~4歳の子どもたちは、教室が遊び場みたいで、自然に体幹が鍛えられるので、とにかくみんなと遊んでいるような感じなんです。そんな雰囲気を見ると、私たち3兄妹も母親がやっていた体操教室に連れていってもらっていたので、懐かしいなと思いながら指導しています。私はゲストコーチという形なので週1回のペースで教えているんですが、子どももそれぞれで本当に面白いですし、先週できていなかったことが今週できるようになった、と成長も感じられて、私たちもすごく勉強になります。
これまで体操にまったく興味を示さなかった娘が、先日体操教室の1日体験に参加したんです。みんなとサーキットに参加して体を動かしていたので、ちょっとずつ興味は湧いてきたのかなぁとは思うんですが、私の3歳の頃と比べると…。厳しく見たら娘は全然動けていないんですよね(笑)。なんか自分とは違うな、と感じるんです。いやー、自分の子どもに教えるのは難しいですね。
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でも、田中さんはご両親から体操の指導を受けられていましたよね。ご両親はどのようにされていましたか?
両親はON&OFFのメリハリをつけてくれました。体育館に行くと田中先生なんですが、家に帰ると、“褒めて伸ばす”っていう、全く怒られたことがないんです。例えば高校生になって髪の毛を染めたとかで怒られたことはありますけど(笑)、基本的には“褒める”。それは田中体操教室でも一番大切にしていることです。
けんかをしているところを見たことがないぐらい両親の仲がよくて、私たち兄妹もけんかしたことがないんです。それが当たり前に育ってきました。周囲の人からも家族がけんかしないということは素敵なことだよ、と言われますし、最近改めて感じます。両親の仲がよく、母親が父親の悪口をまったく言わないという家庭だったので、そこは私も娘に夫の悪口を言わないように気を付けています。家族の仲がいい、っていうのはいいなと思いますし、大切にしていることですね。
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Instagramを拝見しているとお肌がとてもキレイです。現役時代と今のメイクの違いは?
試合の時、アイメイクだけはしていました。それは大学の先輩たちから“目力は大事だから目元だけはちゃんとメイクをして出なさい”と言われたからなんです。ですが、その当時はメイクに興味もなく、何となくまぶたに色をのせるだけだったので(笑)、当時の映像を見ると“ひどいメイクだな”と思います。メイクアイテムは同期と一緒に100均に買いに行って、試合に着用するレオタードのカラーに合わせた色にしようか、と相談しながら選んでました。でも基本的に休みがなく、買い物にも行けないので、ほぼ4年間同じものを使っていたんじゃないかな(笑)。それに比べて、今の現役選手の子たちはすごくおしゃれなんですよ。ちょっと色がつくリップクリームとかちゃんと塗ってて、私は普通のリップクリームすら塗ってなかったのに。
今も基本的にはノーファンデです。眉毛は割としっかりボリュームがある方だったんで、手入れをしなくても平気なんですよね。アイシャドウも茶系の色味をパパッとつけるだけ。でも自分の顔を見た時”目は大事だな”、と思っているので、アイラインは絶対ひくようにしています。今は特にマスク時代なのでアイメイクだけでもしておけば大丈夫、と思うところもあって。今でも“目力”は大事にしていますね。
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スキンケアなど美容で気を付けていることやこだわりはありますか?
出産して子育てするようになってから、美容にかける時間が減ってきましたね。20代はまつエクやネイルもやっていたのに、今は全然興味がなくなっちゃって。でも肌はとても気にしています。毎日お風呂上りにシートマスクを使っているんですが、特にブランドにこだわっているわけではなく、美容が大好きな友人がプレゼントしてくれるものを使っています。家ではじっくりケアする時間がないので、とにかくシートマスクなんです。
化粧品もブランドはこだわらずに使っているんですが、友人から教えてもらったオイルはつけています。肌の乾燥がすごくて、それが一番の悩み。以前に比べたらよくなってきたと思うんですが、20代後半の時は化粧水を塗っても塗っても足りないくらい乾燥していたんです。よく水分を取るように言われるので、意識して取るようにしているんですが、1日に1リットルも飲めなくて。それが肌の乾燥にも影響しているんですかね。選手時代の水を飲むだけでも体重が増える、という感覚が残っているのと、水をガブガブ飲みすぎると体操で回れないんですよ。だから“水を飲む”という習慣が何十年もなかったので、引退してすぐは肌がカサカサでした。あと、日焼けはあんまり気にしていないんですけど、周囲からは注意されます(笑)。
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最近ハマっていることはありますか?
最近ハマっているのはゴルフです。6年ぐらい前からやっていたんですが、仕事が忙しかったり、妊娠・出産で3年ぐらい空いたりしたこともあってブランクはあったんですが、このコロナ禍と子育ての息抜きとして再開しました。ちょっとしたひとりの時間と、1打1打に集中できる楽しみがあって。個人的にはゴルフって体操と似ていると思うんです。個人競技というのもありますし、自分の体の動かし方で球の打ち方も決まってくる。体操でこのひねり方でこんな風に着地できる位置が決まる、というのと同じ感覚で、全部自分に返ってくるというのが楽しいんです。あと1打にかける思いとか緊張感もあって、メンタル的な部分も鍛えられるスポーツだなと思うんです。
相性のいい先生と出会えたこともあって、週1のレッスンにもちゃんと通っています。お陰でやっと最近スコアが100を切れるようになりました。いろんな方のアドバイスを聞いていると、フォームが分からなくなってしまうので、先生に指導されたことだけを信じて練習しています。コースに行くのは1日がかりになっちゃうのでなかなか難しいですが、打ちっ放しでも満足しています。
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田中さんにとって、人には理解されないかもしれない(もしくは理解されなくてもいい)けど自己満足のためだけにやっていらっしゃる趣味や習慣などはありますか?
悩み事があったり、自分の中で不満なことがあったりした時には、とにかく笑って、寝るということを大事にしています。朝起きた時には忘れて、切り替えをしっかりして1日を大切に生きていく、これが私の中での自己満足です。
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田中さんにとっての「美」とは?
大切にしていることは体重を量った時の“数字”にとらわれないことです。自分の体を鏡でしっかり見て、自分の体型を受け入れてどの部分を美しくしたいとか、どの部分をスタイルよくしたいとか、自分なりに工夫しながら考えていくことです。
●田中理恵さんの愛用コスメ
- 〈ビカンリ〉Ochitsu healing oil (60mL) 税込7,480円
〈ビカンリ〉PONNYO balm (30g) 税込4,510円
※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。
オイルは女性のデリケートゾーンも含め全身に使えます。出産後、女性ホルモンが崩れるので、デリケートゾーンもケアしないといけない、と教えてもらって使うようになりました。それに子どもも使えるのも気に入っています。無香料なのも使いやすいです。
あとバームの方は、ジャータイプなので、仕事場に持ち歩くのに便利で、オイルの代わりという感じです。肌に馴染ませた後もベタつきにくいんです。
<田中理恵さんプロフィール>
体操一家で育ち、6歳から体操を始める。体操選手としては157cmという長身と長い手足を生かした大胆かつ美しい演技を持ち味として活躍し、2010年世界体操競技選手権大会で『ロンジン・エレガンス賞』を日本女子で初めて受賞。2012年のロンドンオリンピックでは3兄妹そろって出場を決め、翌年に現役引退。引退後はテレビやイベントなどへの出演や、YouTubeではストレッチ方法や超人的体操バラエティを配信中。
前編では、田中さんの「美ボディ」に迫りました。
編集/㈱メディアム 成田恵子、執筆/北村文、撮影/三浦藤一、ヘアメイク/杉野加奈
EDITOR
DEPACO編集部
副編集長 秀島
プロモーション歴10年以上、DEPACOの生みの親。ビューティ系企画~編集~広告~イベントまで幅広く携わる。経験とはうらはらに、百貨店入社をきっかけにデパコスに触れ始めた“保守派”でかつ、"自信はないけど少しはこだわりたい派"。趣味はアート&銭湯めぐり。
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- ※価格は全て税込です。
- ※写真と実物では、色、素材感が多少異なる場合がございます。
- ※取り扱いの商品には数に限りがございます。
- ※入荷が遅延する場合や急遽販売が中止になる場合がございます。
“十人十色の美衣食住”。
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。
今回のゲストは、女子体操選手としては大柄な157cmの長身と長い手足を生かした大胆かつ美しい演技を持ち味として活躍し、2010年に日本女子初の『ロンジン・エレガンス賞』を受賞。2012年のロンドンオリンピックでは日本代表史上初、兄妹3人そろって出場を決めた元体操選手の田中理恵さんです。