ステージなどは基本、自分でメイクしています。メイクのポイントは、あまりやり過ぎないこと。20歳代の頃はアイメイクだけではなく、クマが目立ちやすいと感じていたので、それを全部消したい！という思いで、盛って盛ってという感じで(笑)。自分でも境目が分からなくなって、濃いメイクになりがちだった時期もあったんですけど、それが徐々に落ち着いてきて、今はいかに引き算していくかみたいなメイクになりました。肌に負担をかけたくないのでベースメイクは薄く作って、目元はちょっとパチッとさせるなど、自分なりに工夫しています。ツヤがある方が好きなので、アイテムを選ぶ時はツヤ感を重視しています。普段のメイクと比べると、ちょっとラメを加えてみたりすることもありますが、その時の気分や衣装によって変えています。私の顔立ちはひとつ間違えると濃く見えてしまいがちなので、試行錯誤しながらメイクするようにしています。

一切調味料を摂らないような、かなりストイックな時期もありましたが、ここ最近はジャンクなものを避け、蒸した野菜やゆで卵、サーモンなど、なるべく体に良いものを食べるようにしています。肉類も毎日は食べず月に数回食べるぐらいで、基本は魚や卵、蒸したり、素焼きした大豆を食べてたんぱく質を摂っています。
昔は週に4回ラーメンを食べていたこともありました(笑)。30歳を過ぎてからは体調も変化して、食べたものによる影響を感じるようになったので、なるべく完璧な状態でステージパフォーマンスをするためだと考え、野菜やたんぱく質などちゃんとバランスを考えて摂ったり、最近は黒胡麻ペーストを毎朝ティースプーン1杯食べるようにしています。今は自分の体が重たく感じないというか、とてもバランスが取れている感じです。

食生活を変えたことで肌の状態も安定しやすくなりましたが、チョコレートも大好きで(笑)。毎日板チョコを何枚も食べるようなことを続けていたらニキビが出来やすくなってしまって、ここ1年ぐらいは気をつけるようになりました。コロナ禍でストレスが溜まっていたこともあるかもしれませんが、ついストイックになりやすいので、とらわれ過ぎないようにたまに食べています。

ヴァイオリンの練習って意外と全身を使っていて、何時間も立ちっぱなしで集中して全身を動かして奏でているので、たぶん私の体は練習することで、いわゆる運動をしていることになっているかなと思っています。ヴァイオリンの練習時間は平日や土日でも違いますし、今回のようにアルバムを制作する時は、食事を作って食べる以外の時間はずっと弾いています。腕、指、それに足でちゃんと支えていないと弾けないですし、体幹も大事になりますよね。
数ヶ月前からは、ちょっとした運動を始めました(笑)。もともと運動するのは好きじゃないのですが、やってみると意外に楽しいと思えて、YouTubeを見ながら、ちょっとハードな運動を30分ぐらいしています。汗をかかないほうなのですがその運動を始めてから汗をかくようになって、代謝も良くなった気がしますし、足のふらつきもなくなってきました。改めて筋力って大事だなと感じています。

娘を抱っこしていた時期は腕と足に筋力がついていたと思うのですが、最近ではもう抱っこすることもなくなり、練習以外に運動する機会がなくなってしまったので、このままだとよくないのかなと感じて、少しずつ始めました。今は「のがちゃんねる」をよく見ているのですが、1日2分だけでもいいというプログラムもあって、プレッシャーにもならないところが気に入っています。毎日30分やるとなると疲れちゃうこともあるので、その日のヴァイオリンの練習量によって、運動する時間も調整しています。

乾燥や洗い物などで荒れてしまった時は、寝る前や演奏した後にケアすることが多いです。ヴァイオリニストそれぞれなのですが、私はネイルなどもしていませんが、ネイルをしていても弾けるという人もいますし、ピアニストの中にはハンドクリームを塗ったほうが弾きやすいという人もいて、手元のケアは個人の好みがそれぞれあるようです。

美容は学生の頃から大好きで美容雑誌を読みあさっていたのですが、今は便利な世の中になってInstagramでハッシュタグを使って調べたら、その情報を得られるじゃないですか。
特定のインフルエンサーさんの投稿を見るというよりは、気になる撮り方をしている写真やそのアイテムについて詳細に書かれているコメントが気になるので、そういった投稿をチェックしています。Instagramは見ている時間も多くて、美容系とチョコレート系の投稿はタグ検索して、常に新しい情報を探しています。

SNSで気になったものを買う時は、必ず実際に見て買います。写真だけだと印象が違うこともありますし、本当に自分に似合うかも分からないので、ちゃんと自分の目で見て、確かめてから買うようにしています。なので、百貨店のコスメカウンターにはよく行きますよ。コロナ禍になる前は時間があればコスメカウンターに行って、Instagramで情報を得るよりも前に、実際にコスメカウンターで実物を試して新作をチェックしていたほど。今はオンラインも当たり前ですが、実際に見ると思っていたのと違ったり、光の加減で色味が全然違うってことがよくあるので、やっぱり見に行ってしまうんですよね。

スキンケアはシンプルに辿り着いて、皮膚科で処方してもらう親水クリームとプロペトだけなんです(笑)。高校時代からオタクレベルでコスメが大好きだったので、ロングセラーになっているようなアイテムはひと通り使ったことがあるのですが、もともと敏感肌でケアし過ぎると肌に炎症が起きてしまうこともあったので、乳液やクリームだけと使うアイテム数を少なくしていました。特にクリームはあるだけで安心するぐらい、私には欠かせないアイテムです。クレンジングはポイントメイクだけで、ファンデーションは石けんで落とせるタイプにしています。今のところ肌状態も安定しているので、何か物足りなさを感じたら、少しずつ新しいアイテムも増やしていきたいです。

日焼け予防はなるべく日差しを浴びないようにして、日傘をさしたり日陰を歩くようにしています。日焼け止めはテクスチャーがどうしても苦手なのと、持っている小物や楽器のケースが黒なので、日焼け止めが白くつくのが気になってしまうんです。どうしても娘と外出しなければならない時や荷物が少ない時は、ちゃんと塗るようにはしていますけど。
またメイクアイテムは肌に負担が少なそうなものを選ぶことが多いです。あと香りが気になってしまうほうなので香りがやさしいものを選んだり、あと年齢とともにハイブランドを選ぶようになってきました。最近は〈ディオール〉〈トム フォード ビューティ〉などをよく使っています。

あと香水もマニアな感じで、いろんなブランドを使ってきました。香りは特に実際に嗅がないと分からないので、それこそ百貨店に行っていろいろ試します。その日によって香りを変えるんですけど、〈フエギア 1833〉は特に気に入っていて、すっかり“フエギア沼”にハマってしまってます。

毎日コツコツとちょっとしたことを続けるって大事だと思っています。食べる物によって肌に影響が出てくるので、美容も内側からだと考えています。そんなにストイックにやりすぎなくてもいいとは思いますが、気をつけることによって結果に繋がる。それは楽器の練習も「やりたくないな」と思っていても、毎日続けることで出来るようになる瞬間があるのと同じで、点と点が繋がる瞬間がどちらもあるんですよね。その結果が出ると嬉しいと思えますし、モチベーションが高くなるので、そこもどちらにも通ずるところだと感じます。

自己満足で習慣としていることは、黒胡麻ペーストをスプーン1杯分食べることです。周囲からは見た目も味もどうなの？と思われているんですが(笑)、自分の中では気に入って続けている習慣です。

いろんな「美」があると思うのですが、私の場合、音楽の「美」という部分でもそうですし、美容の「美」もそうですが、毎日積み重ねることによって結果が出てくるものだと思うので、どちらも“継続”することが一番大事だと思っています。

●宮本笑里さんの愛用アイテム

1. 〈トム フォード ビューティ〉アイ カラー クォード(27A) 税込10,890円
   肌がブルーベースなので、濃いパープルが最近好みなんですけど、このパレットの色味が特にお気に入りです。ツヤ感やシアー感が安定しているんですよね。トムフォードはラメも細やかで、あんまりラメラメしていないところが好きです。
   
   ※現在、同色は販売しておりません。同シリーズはこちらからお買い求めいただけます。
   
   
2. 〈大村屋〉絹こし胡麻 黒(300g) 税込999円
   毎朝豆乳ヨーグルトにかけてスプーン1杯分食べています。混ぜると黒くなるし、甘みもないので、あまり好んで食べるという方は少ないかもしれないですが。私としてはピーナッツバターのような香ばしさがあって、美味しいなと思っています。豆乳ヨーグルトに甘くない小豆と焼き芋と一緒に入れて食べています。
   
   ※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。

＜宮本笑里さんプロフィール＞
14歳の時、ドイツ学生音楽コンクールデュッセルドルフ第1位入賞ほか、フジテレビ系ドラマ「のだめカンタービレ」にオーケストラのメンバーとして出演するなど、デビュー前からメディアに多数出演。2007年「smile」でアルバムデビューし、2008年よりコンサート活動を本格化。MBS系「情熱大陸」、NHK「紅白歌合戦」にも出演し、注目されるヴァイオリニストのひとりに。2022年7月、デビュー15周年を記念したアルバム「classique deux」を発売するなど、幅広く活躍中。11月～12月にかけて東京・浜離宮朝日ホール(11/22)など全4カ所の15周年リサイタルツアーを開催する。

前編では、宮本さんのヴァイオリニストとして歩みや続けてこられた秘訣について伺いました。

編集／㈱メディアム 成田 恵子、執筆／北村 文、撮影／Suat Koylu、メイク／福島 加奈子