【後編】好きを仕事に。ワークライフバランスの秘訣とは?フラワーアーティスト・前田有紀さんにインタビュー〈十人十色の美衣食住〉
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転職や起業の相談を受けるようになったことをきっかけに「好きを仕事に研究会」を立ち上げたと伺いました。参加されている方にどのようなことを伝えたいと思われていますか?
花のワークショップを開いた時に、キャリアに悩まれている方からご相談を受けることが多くあって、花とは別軸でこれまでの私の経験を伝える機会を作りたいと思って立ち上げました。2022年の秋からスタートしたのですが、20名ほどのメンバーを集めて、「好き」を軸にした生き方と起業について考える会をやっています。
参加されている方は子育てで仕事を離れてしまったけれど何か始めたいと考えている方や、今は会社員だけれどもゆくゆくは好きな事を仕事にしたいという方など、起業をしたいけれどもステップの踏み出し方に迷われている30代前後の方が中心です。私も起業する時に何も分からず一から全部調べてやってきたので、女性に特化して、キャリアや大事にしたいことが移ろいやすいステージを迎えている方のサポートをしたいと考えています。本当に分からないことだらけだった私でも起業できたので、その体験をベースにお伝えしたいですね。
参加してる方や質問してくださる方のお話を伺っていると、1か0かみたいに考える方が多いと感じます。好きなことを仕事にするんだから、今までやってきたことを手放さなければいけないと思い込んでいるようです。でも今はさまざまな肩書を持って生きていくのが当たり前の時代ですし、両立させることは可能だと思うんです。私には今5歳と2歳の子どもがいますが、子どもを優先したいから好きなことにチャレンジできないでいるという方もいます。でもそこは工夫とアイディア次第で、どちらも100%にすることはできると思うので、みなさんの「選択肢を広げる」お手伝いをしたいです。
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とはいえ、仕事と子育ての両立は大変でいらっしゃると思います。前田さんがワークライフバランスを実現するために心掛けていることを教えてください。
「どちらかを犠牲にしてどちらかを得る」というのではなく、「両方を大切にする」という在り方を実現したいと思っています。そのために仕事でも子育てでも、自分で全部背負い込まずに手放して、周囲の力を借りながらやっています。ご飯づくりも一人ではなく、お惣菜屋さんのものを用意することも多いですし、どうしても仕事がある週末に近所の子育てファミリーに子どもを見てもらうことをお願いすることもあります。とくに鎌倉に引っ越してからは身近にある海や山を気軽に楽しめる恵まれた環境にいるので、それだけでもワークライフバランスが整うように感じます。
あと、暮らしと仕事は大事ですがどちらも大変な事が多いので、第3の時間というか自分と向き合う時間を持つようにしています。たとえば、息抜きとして始めたお寺の庭仕事の勉強をしているときは、メディテーションのような時間。出された指示通りに、ひたすら雑草を抜いている作業をとても新鮮に感じます。
そしてこの時間を作ることによって、自分を満たしてあげている気がします。私だけでなく、日本女性はいろいろと頑張って背負い過ぎるところがあるので、肩の荷を下せる時間を作ることはみなさんにとっても大切だと思います。
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花を扱うのはかなり重労働でもありますよね。体力維持のためにやっていることはありますか?
まだ子どもが小さいので日中ジムに行くという時間は持てませんが、朝早く起きた時や時間に余裕がある時にヨガをするのが心と体を整える時間になっています。時間はいろいろですが「太陽礼拝」は最初のムーブメントだけだったら短い時間でもできますし、時間がある時はじっくりやるようにしています。
フラワーアーティストに転身したので、ヨガの話をすると意外に思われるかもしれませんが、実はヨガインストラクターの養成講座に挑戦していた時期もあったので、ひと通りの動きはできるんです。今時間がない中でも家でパっとできちゃうのはいいですよね。自分の「好き」を探している時期に挑戦したことでしたが、その時間も無駄ではなかったと感じますし、いろいろなことを経験しておくことは大事ですね。
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今後、挑戦されたいことはどんなことですか?
子どもたちがもっと花に触れ合える教室や企画を増やしていきたいですね。小さい頃の体験が大人になった時の考えを作っていくと思うので。花屋に勤めていた時、土を触ったことがない子どもがとても多いと感じたので、やっぱり触れる機会を増やしてあげたいです。
私の子どもたちは、家で花の作業をしていると「これ○○って花だよね」と言ったり、散歩していると道端に咲いている花に目をやったり、花に関心を持ってくれています。とはいえ、まだまだ戦隊ヒーローや乗り物の興味にはかないませんが。(笑)多くの子どもたちに、その機会をどう増やしていこうかと考えているところです。
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前田さんにとって、人には理解されないかもしれない(もしくは理解されなくてもいい)けど、自己満足のためだけにやっていらっしゃる趣味や習慣などはありますか?
花の仕事を始めて大分長くなってきましたが、住まいのある鎌倉で、お寺の庭仕事を勉強しはじめて、それが「自己満足の息抜き」になっています。実際の作業としては庭師さんについて、ひたすら地面にある雑草を取ったり、蜘蛛の巣を取ったりします。生花とは全く違う世界なので、世界が広がった感じがして、とても良い時間になっています。
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前田さんにとっての「美」とは?
20代の頃は表面的な美しさを追い求めていましたが、年を重ねた今は心と体が心地良くいられる状態が美しさなのかなと思っています。なので、自分らしくいられることをいつも大切にしていると、それが美しさにも現れていくのかなと感じています。
●前田さんの愛用アイテム
- CLOUDY Alpha Bag 税込4,950円
※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。
アフリカの生地や伝統工芸のバスケットの技術を使っているブランドです。アフリカで学校と工場を作っていて、売上が子どもたちの給食になったりします。バッグだけでなくポーチも愛用していますが、カラフルで可愛いデザインなんです。使っていてハッピーになるものが、地球の違う場所の誰かをハッピーにしているのが素敵だなと思って愛用しています。
- 〈アムリターラ〉ベジガーデングロッシーヘアオイル オレンジ&ラベンダー(30mL) 税込3,740円
※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。
40代になってヘアケアが気になるようになって、使い始めました。オイルって便利なので、よく使っています。スイートオレンジとラベンダーの香りなんですが、とても自然な香りで心地良いので気に入っています。
- 〈ドクターブロナー〉オーガニック クリーンスプレー(59mL) 税込1,078円
※DEPACOおよび大丸・松坂屋各店ではお取り扱いがございません。予め、ご了承くださいませ。
ラベンダーの香りがするアルコールスプレーです。ラベンダーの香りを嗅ぐとリラックスした気持ちになります。天然由来成分を使用したり、ペットボトルも再生プラスチックを使っているんです。シングルユースの素材を使用しないというブランドの持つ理念や背景が、地球環境に配慮していて素敵ですよね。使う時に自分が心地良くても、それが地球を汚してしまっていたら、どこか気持ちが悪いと感じるので、そういった意味でも信頼できるブランドです。
<前田有紀さんプロフィール>
10年間テレビ朝日のアナウンサーとしてご活躍後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近に」という思いから、イベントやウエディングなどの空間で花の在り方を提案する。2018年秋に自身のフラワーブランド「gui(グイ)」を立ち上げ、2021年4月に東京・表参道にフラワーショップ「NUR(ヌア)」をオープンさせる。
前編では、フラワーアーティストへの転身のきっかけについて伺いました。
■【前編はこちら】アナウンサーから「花のある豊かな生活」へ転身。“自分らしく生きる”とは→
編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/Suat Koylu、メイク/山下 光理
EDITOR
DEPACO編集部
副編集長 秀島
プロモーション歴10年以上、DEPACOの生みの親。ビューティ系企画~編集~広告~イベントまで幅広く携わる。経験とはうらはらに、百貨店入社をきっかけにデパコスに触れ始めた“保守派”でかつ、"自信はないけど少しはこだわりたい派"。趣味はアート&銭湯めぐり。
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- ※価格は全て税込です。
- ※写真と実物では、色、素材感が多少異なる場合がございます。
- ※取り扱いの商品には数に限りがございます。
- ※入荷が遅延する場合や急遽販売が中止になる場合がございます。
“十人十色の美衣食住”
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。
今回のゲストは10年間テレビ朝日のアナウンサーとしてご活躍後、2013年にイギリスで花やガーデナーの勉強するために留学され、帰国後、フラワーアーティストへ転身された前田有紀さんです。「好き」を仕事にすることを実現された経緯や、ご提案される「花のある豊かな生活」についてお話を伺いました。