【デパコスの未来・後編】イガリシノブが考えるコスメロスへの取り組み方とは?「WWDJAPAN」&「DEPACO」の編集長鼎談〈コスメロス協会〉編
DEPACO編集部
編集長 望月
2023/05/31
大丸・松坂屋によるデパコスの“メディアコマース”「DEPACO」の特集「#デパコスの未来」では、「DEPACO」の編集長・望月が、ファッション&ビューティーのニュースメディア「WWDJAPAN」の村上要編集長と、毎回ゲストを招いて百貨店ビューティーやデパコスの未来を語り合います。今回は特別編。ゲストにコスメブランド〈フーミー〉のプロデューサーでコスメロス協会代表のイガリシノブ・メイクアップアーティストをお招きしました。後編は、廃棄コスメを使ったアート活動の狙いや、コスメロスについてのイガリさんの考えや思いを伺いました。
01
コスメでアートを楽しむ子ども向けイベント
イガリシノブ・コスメロス協会代表/メイクアップアーティスト(以下、イガリ):コスメ交換会以外にも、慈善事業としてメイクを教えるという活動をしています。その中で使ったアイテム、例えばリップなら一欠片だけピルケースに移して持って帰ってもらうなど、私の使いきれないコスメも活用しています。〈フーミー〉では今度、コスメをそのまま使って絵を描く子ども向けのイベントを予定していて、絵だけではなくパッケージも使った工作イベントも考えています。
望月美穂「DEPACO」編集長(以下、望月):コスメを使って子ども向けイベントを実施する狙いは?
イガリ:子どもの成長に親の影響はすごく重要。でも親も、初めて親になるわけだから不安ですよね。そこでコスメに関しては、私が手助けしたいと考えました。ちょっとしたコスメの子育て村みたいな感じですね。
望月:そういったアイデアは、イガリさん自身も母だから出てくるものなのでしょうか?
イガリ:子どもとプレイパークに行くと、画材がバーっと置いてあって、コスメも使えるんじゃないかと感じたんです。一度、廃棄コスメを工作教室に寄付したんですが、外箱ですごいお城を作ってくれました。コスメには偏光パールが入っているものも多く、絵の具と違った風合いが面白いんです。こんなに使えるのに、なんで捨ててしまうんだろう?と改めて感じました。化粧品メーカーがこだわっているパッケージは、工作材料にぴったりなんです。アートは子どもも大人も楽しめるし、世界共通なので、今後もやっていきたいです。
イガリ:子どもの成長に親の影響はすごく重要。でも親も、初めて親になるわけだから不安ですよね。そこでコスメに関しては、私が手助けしたいと考えました。ちょっとしたコスメの子育て村みたいな感じですね。
イガリ:子どもとプレイパークに行くと、画材がバーっと置いてあって、コスメも使えるんじゃないかと感じたんです。一度、廃棄コスメを工作教室に寄付したんですが、外箱ですごいお城を作ってくれました。コスメには偏光パールが入っているものも多く、絵の具と違った風合いが面白いんです。こんなに使えるのに、なんで捨ててしまうんだろう?と改めて感じました。化粧品メーカーがこだわっているパッケージは、工作材料にぴったりなんです。アートは子どもも大人も楽しめるし、世界共通なので、今後もやっていきたいです。
02
コスメロスに取り組むマインドを育てる
望月:コスメロス協会という名前なので、お堅い活動内容なのかなと思っていました。
村上要「WWDJAPAN」編集長(以下、村上):今はどの企業もSDGsやサステナブル活動をやっているじゃないですか。すごく真面目に考えて、壮大なプランを作ってしまって、最初の一歩をどう踏み出していいかわからない……という企業も少なくありません。
イガリ:そうなんですよ、大きい活動をするのは難しいですよね。コスメロスという課題に対して企業はリサイクル活動などに取り組んでいますが、一方で情報を伝えることがなかなかできない。一方私は情報発信ができるので、役割分担のように考えています。そして私はヘアメイクアップアーティストなんですが、生活者でもある。リサイクルをするのは企業でも、リサイクルに出すのは生活者なので、その心を育てなきゃと考えています。
望月:自分に何ができるのか考えるところからですよね。
イガリ:フードロスでも、“捨てるのは駄目”と啓蒙できていても、家の食卓で何をどう変えるべきなのかまでは伝わっていません。例えば“残ったブロッコリーの芯はこう使おう”くらい身近に感じられるように発信しないと、マインドを変えるのは難しいと思うんです。
村上:身近な一歩から、を体現した活動なんですね。
イガリ:〈フーミー〉では一つずつアイテムを使うことでメイクアップを覚えられるよう、教科書のように商品を出してきました。ブランドローンチから5年目ですが、最初の頃は地味なファッションだったお客さまが華やかな黄色のダウンを着るようになるなど、メイクを通じたマインドの変化を感じています。コスメロスの活動でも、マインドを変えることの大切さを重視しているんです。
村上要「WWDJAPAN」編集長(以下、村上):今はどの企業もSDGsやサステナブル活動をやっているじゃないですか。すごく真面目に考えて、壮大なプランを作ってしまって、最初の一歩をどう踏み出していいかわからない……という企業も少なくありません。
望月:自分に何ができるのか考えるところからですよね。
イガリ:フードロスでも、“捨てるのは駄目”と啓蒙できていても、家の食卓で何をどう変えるべきなのかまでは伝わっていません。例えば“残ったブロッコリーの芯はこう使おう”くらい身近に感じられるように発信しないと、マインドを変えるのは難しいと思うんです。
村上:身近な一歩から、を体現した活動なんですね。
イガリ:〈フーミー〉では一つずつアイテムを使うことでメイクアップを覚えられるよう、教科書のように商品を出してきました。ブランドローンチから5年目ですが、最初の頃は地味なファッションだったお客さまが華やかな黄色のダウンを着るようになるなど、メイクを通じたマインドの変化を感じています。コスメロスの活動でも、マインドを変えることの大切さを重視しているんです。
03
そもそもなぜ、コスメロスは起こる?
望月:イガリさんはなぜ、こんなに大量のコスメロスが起こると考えますか?
イガリ:そもそもコスメは大きいのに、使う量が少ないんですよ。アイシャドウパレットなんて1年使ってもほとんど減らない。かといって小さなサイズにするのは、また別の問題がありますよね。
望月:使い切っていないコスメがあっても、新しい商品が出てきたら心がときめいて、つい買ってしまう。私も毎シーズン、コスメを増やしている気がします。
イガリ:コスメを選定する心が必要なんだと思います。自分のことをよく知り、どのコスメが必要なのかという感覚があれば、もっと賢くコスメを消費できると思います。それと、特別なメイクアップをする機会があんまりないですよね。そういう特別な場面をもっと作ってあげたらコスメを使うきっかけにもなるし、ポジティブなマインドが広がっていくんじゃないかと思ってます。
イガリ:そもそもコスメは大きいのに、使う量が少ないんですよ。アイシャドウパレットなんて1年使ってもほとんど減らない。かといって小さなサイズにするのは、また別の問題がありますよね。
望月:使い切っていないコスメがあっても、新しい商品が出てきたら心がときめいて、つい買ってしまう。私も毎シーズン、コスメを増やしている気がします。
04
コスメロス活動は企業や仲間を巻き込んだ拡大を
望月:企業とコスメロス協会の役割分担の話をしていましたが、企業の取り組みをどう見ていますか?
イガリ:サステナビリティの意識が高い消費者は計り売りとかリサイクルに積極的ですが、そうじゃない人でも、対話によって意識が向くことがあると思います。せっかくサステナビリティの取り組みをするなら、そういった消費者とも対話して欲しいですし、発信が苦手ならコスメロス協会を巻き込んでいただけたらと思います。あとはメーカー同士、企業同士のコラボもして欲しいです。どんどん外に出ていくことが重要だと思います。
望月:企業の中でも、SDGsとかサステナブルに取り組む部署だけが一生懸命やっていることもありますよね。
村上:SDGsとかサステナブルの話だけだと、他部署の社員はなんとなくついていけなくなっちゃって、どんどん心が離れていく……みたいな話も耳にしますね。
望月:今後、コスメロス協会として考えている活動はありますか? イガリ:まずは化粧品だけを使った絵画コンクールをやりたいです。第1弾として廃棄するコスメで大きな壁画を描く予定です。コスメはそのまま画材にできるし、そのまま使うと油分の関係とかも覚えられて面白いんです。うちの子もリップスティックとグロス、どっちの方が色の出方がいいか?みたいな話をしています。また発信力の高い周りのメイクアップアーティストとかインフルエンサーも巻き込んで、一緒にやりたいと思っています。
イガリ:サステナビリティの意識が高い消費者は計り売りとかリサイクルに積極的ですが、そうじゃない人でも、対話によって意識が向くことがあると思います。せっかくサステナビリティの取り組みをするなら、そういった消費者とも対話して欲しいですし、発信が苦手ならコスメロス協会を巻き込んでいただけたらと思います。あとはメーカー同士、企業同士のコラボもして欲しいです。どんどん外に出ていくことが重要だと思います。
望月:企業の中でも、SDGsとかサステナブルに取り組む部署だけが一生懸命やっていることもありますよね。
村上:SDGsとかサステナブルの話だけだと、他部署の社員はなんとなくついていけなくなっちゃって、どんどん心が離れていく……みたいな話も耳にしますね。
望月:今後、コスメロス協会として考えている活動はありますか? イガリ:まずは化粧品だけを使った絵画コンクールをやりたいです。第1弾として廃棄するコスメで大きな壁画を描く予定です。コスメはそのまま画材にできるし、そのまま使うと油分の関係とかも覚えられて面白いんです。うちの子もリップスティックとグロス、どっちの方が色の出方がいいか?みたいな話をしています。また発信力の高い周りのメイクアップアーティストとかインフルエンサーも巻き込んで、一緒にやりたいと思っています。
EDITOR
DEPACO編集部
編集長 望月
母でもあるイガリさんは、子どもたちに対しての活動にも力を入れています。キレイを作ることはただメイクすることだけではなく、それを取り巻く環境すべてに責任があることも、未来ある子どもたちと楽しく一緒に考えていきたい、そんな思いが込められています。
新聞記者やビューティ業界紙の編集記者を経て、大丸・松坂屋に入社。化粧品各社の戦略やビジネスなど、ビューティ業界を見つめて早10数年。年齢に伴う肌悩みに向き合いつつ、無理をしない「ながら美容」を追求する編集部最年長。愛犬の散歩で1日平均1万歩の健脚が自慢。
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