今回取り上げるSDGsのゴールは「15 陸の豊かさも守ろう」。陸の生態系や森林を守ることなどを目標としています。
そこで注目されているのが、木材を原料とする「紙」。リサイクルも進んでいますが、今も世界中の森林で、紙をつくるためにたくさんの木が伐採されています。また、過剰な伐採による生態系への影響も大きな問題です。

実は世界でも特に紙の使用量が多い国のひとつが日本。1人あたりの紙消費量が年間178.4kgと、世界トップクラスです(2020年現在。世界平均は53.3kg)(※)。

こうした状況で立ち上がったのが、日本発のコスメティックブランド〈SHIRO〉。草創期からのメンバーで、ブランドの取り組みや製品に詳しい長嶋 康太さんにお話を伺いました。

※出典：RISIアニュアル・レビュー

「自然の恵みを素材に、“自分たちが本当に使いたいものをつくる”ことにこだわるブランドです」

長嶋：“自分たちが本当に使いたいと思えるものだけをつくる”という、シンプルな思いからスタートしたブランド。スキンケアやメイクアップコスメをはじめ、フレグランスや、洗濯洗剤に柔軟剤といったホームケアアイテムまで、幅広く取りそろえています。

〈SHIRO〉のものづくりの特徴は、自然の素材が持つチカラを最大限引き出してアイテムに活かすこと。素材をどう使えばお客様に最も“良さ”を感じていただけるかを追求し、生産者のもとで本来捨てられるような枝葉や、製造工程の中で生まれる酒かすなどの副産物も、美容に役立つ成分の含有量が高ければ積極的に活用しています。

製品づくりの中で自然の恵みをたくさんもらっているからこそ、地球環境に負荷をかけないよう配慮することにも長年取り組んできました。製品本体を紙箱で包装せずにご提供する「パッケージレス」も、そうした活動のひとつです。

YAMACO：「紙箱なし」は、デパコスではかなり先進的！アイテムの開発から販売まで、すべてを自社で担っているからこそできることだと感じます。その原動力は、自然環境が〈SHIRO〉のものづくりに深く関わる存在だという事実。製品と同じくらい森林資源を大切に想っているんですね。

「紙の材料となる森林資源と、そこで育まれる生態系を守るためです」

長嶋：〈SHIRO〉では2022年4月から、「紙箱なし」が基本となるパッケージレス製品の販売をスタートしました。ルーツとなったのが、2020年に始めた「エシカル割」。紙箱のない状態(パッケージレス)で製品をお買いあげいただくと、箱代に相当する金額(3%程度)をお値引き。これがとても好評で、オンラインストアではパッケージレスをお選びいただくケースが8割を超えるほど！(2022年3月時点)

“資源のムダ遣いをできるだけ少なくしたい”と考えるお客様が少なくないことを実感し、「エシカル割」を発展させる形で、すべての店舗でパッケージレス製品を販売することに。同時に、紙箱入り製品の製造を終了しました。

ご希望のお客様には適切なサイズのペーパーバックをご購入いただくほか、ギフト用にBOXもご用意しています。
また、これまで無料でご提供してきた紙のお手さげ袋を有料に。お手さげ袋の面からも森林資源の保護を図っています。

・ペーパーバッグ(S・M・L・LLの4サイズ)
　S・M・L 税込55円、LL 税込88円
・ギフトBOX(全4サイズ) 税込330円
・お手さげ袋(特小・小・中・大の4サイズ) 各税込110円

YAMACO：コスメの箱はかわいいデザインのものが多いけれど、確かに、自宅に着いたら書いてある説明をざっと読んで捨ててしまうことも。リピートアイテムは既に使い方もわかっているので、「パッケージレス」を選べば、その分、資源を使わずに済みますね♪

「木材の消費量と、CO2の排出量を減らせます！」

長嶋：まず、紙(箱・袋)の原料となる木材の消費量が減り、森林資源と、そこで育まれている生態系を守ることができます。
さらに、新たに紙をつくらないことでCO2の排出量も減らすことができます。例えば、〈SHIRO〉の中でも特に多くのお客様から愛用されているオードパルファンの場合、ペーパーレス製品を選ぶことで1本あたり22.46gのCO2排出量を減らせます。〈SHIRO〉スキンケアの代表的なアイテム「がごめ昆布美容液」では1本あたり29.84g、お手さげ袋の中サイズでは1つあたり185.54gです。

CO2は温室効果ガスの多くを占め、陸はもちろん海の生態系、そして私たちの暮らしにも大きな影響を及ぼす存在。紙箱・手さげ袋を受け取らないことで、森林だけでなく地球全体の生物多様性や、私たちの生活環境のサステナビリティにアプローチできるのです。

YAMACO：〈SHIRO〉のオフィシャルサイトでは、「パッケージレス」を選ぶことでどのくらいのCO2 排出量を減らせるか紹介されているので、ぜひチェックしていただきたいですね！(現在は一部のアイテムについて。今後、表記アイテムを増やしていくそうです。)数字を見ることで、“自分がSDGsアクションをしている”手ごたえをより強く感じました♪

“自分たちが本当に使いたいと思えるもの”を追求したものづくりを行う〈SHIRO〉ではどんなアイテムが人気なの？長嶋さんにスタッフの方から評判のアイテムを教えていただきました。

南オーストラリア産の天日塩(※)に、三重県・和歌山県などを含む紀伊山地産のヒノキ精油を配合したバスソルト。お湯に入れるとフレッシュで深いヒノキの香りが広がり、極上のバスタイムに。品薄状態が続く大人気アイテムなので、見つけたらぜひGETしてくださいね。

※保湿成分

シトラスやグリーンの爽やかなトップノートから、グリーンティーやジャスミンなど品の良いミドルノート、そしてムスクやウッディなど落ち着いたラストノートへと移り変わるフレグランス。軽やかにまとえる香りでスタッフにも大人気です。ジェンダーレスな香調なのでパートナーとシェアするのも◎。

●長嶋さんから、DEPACO読者にメッセージ
〈SHIRO〉は自然の恵みを活かしたものづくりを行うブランドとして、地球環境に与える負荷を減らし、エシカルであることをいつも大切にしています。
もちろん、そんな姿勢も知っていただきたいけれど、私たちの一番の願いは「〈SHIRO〉のアイテムで暮らしを楽しんでいただきたい」ということ。“このアイテムでスキンケアやメイクアップをすると心が弾む”“〈SHIRO〉のフレグランスの香りが好き”と選んでいただいたことが、結果的に森林資源を守り地球環境のサステナビリティにつながればとてもうれしいです。パッケージレス製品を購入したことが、自分ができるSDGsのアクションについて考えるきっかけになる。そうなったら素敵だな、と思っています。

YAMACO：“コスメはかわいい箱に入っているのが当たり前！”と思っていたけれど、長嶋さんのお話を伺って目からウロコが落ちました。〈SHIRO〉は以前から大好きなブランドで、いろいろなアイテムを愛用中。これからはお気に入りのアイテムをパッケージレスで購入するだけで、気軽にSDGsのアクションをできるのがうれしいです♪