【デパコスの未来・後編】若者や男性を惹きつける〈YSL〉流コミュニケーション、「WWDJAPAN」&「DEPACO」の編集長鼎談〈イヴ・サンローラン〉編
DEPACO編集部
編集長 望月
2023/05/19
大丸・松坂屋によるデパコスの“メディアコマース”「DEPACO」の特集「#デパコスの未来」では、「DEPACO」の編集長・望月が、ファッション&ビューティーのニュースメディア「WWDJAPAN」の村上要編集長と、毎回ゲストを招いて百貨店ビューティーやデパコスの未来を語り合います。今回のゲストは、〈イヴ・サンローラン〉の長谷友紀子事業部長。後編は、長谷事業部長の愛用アイテムや、若者や男性など広がるお客様とのコミュニケーションについて伺いました。
01
長谷事業部長が愛する〈YSL〉のアイテムは?
村上要「WWDJAPAN」編集長(以下、村上):長谷さんが個人的にお好きな〈イヴ・サンローラン(以下、YSL)〉のアイテムは何ですか?
長谷友紀子 イヴ・サンローラン・ボーテ事業部長(以下、長谷):「リブレ(LIBRE)」シリーズを愛用しており、「オーデパルファム アンタンス」と「オーデパルファム」を季節やTPOで使い分け、ボディーオイルは体にも髪にも使っています。4月に発売したばかりのハンドクリームも愛用中です。また「ルージュ ヴォリュプテ キャンディグレーズ」の「No.2 ヘルシー グロウ プランパー」は朝も就寝前にもリップケアとして使っています。
望月美穂「DEPACO」編集長(以下、望月):新作「ルージュ ヴォリュプテ キャンディグレーズ」はどんなリップですか?
長谷:ツヤと保湿ケア力が高く、それでいて綺麗に発色します。78%がケア成分なので、ツヤで縁取るような仕上がりになります。
長谷:ツヤと保湿ケア力が高く、それでいて綺麗に発色します。78%がケア成分なので、ツヤで縁取るような仕上がりになります。
02
若い世代を惹きつけるムッシュ イヴ・サンローランのスピリット
望月:多くのブランドを持つロレアルの中で〈YSL〉はどのような位置付けですか?
長谷:〈YSL〉はロレアルのリュクス事業本部の世界4大ブランドの一つとして非常に重要な役割を担っています。特にクチュールブランドとしての魅力に価値を置いてくださる若いお客さまが多いので、20代~30代前半のジェネレーションZやミレニアル世代をターゲットに大きな成長を期待されています。
望月:10年前と変わった部分はありますか?
長谷:10年前はロレアルグループの一員になって、これから成長させていこうというスタートアップのような立場でしたが、今は4倍ほどの売り上げに成長し、屋台骨の一つという位置付けになりました。
村上:最近は若い世代と意識的にコミュニケーションされていると思いますが、なぜこんなに若い人を惹きつけられるのでしょう?
長谷:元々ムッシュ イヴ・サンローランが持っていた常識を覆していくような自由さやファッションのように、自分で自分の人生を切り開いていく、常識や人の目を気にせず自分を表現していくスピリットが、実際の年齢に限らず若いマインドを持った方に響くのではないでしょうか。
望月:“YSLウーマン”は誰にも媚びずに自分の芯を持っている女性と捉えています。それも共感を得る点なのかなと。
長谷:そのようなイメージは特にZ世代の方に、国を問わず共感いただけていると思います。ブランドのお客様は8割が39歳以下の方、特に20~24歳の方が多く、高校生の方や親子でご来店される方も多いんです。
長谷:〈YSL〉はロレアルのリュクス事業本部の世界4大ブランドの一つとして非常に重要な役割を担っています。特にクチュールブランドとしての魅力に価値を置いてくださる若いお客さまが多いので、20代~30代前半のジェネレーションZやミレニアル世代をターゲットに大きな成長を期待されています。
望月:10年前と変わった部分はありますか?
長谷:10年前はロレアルグループの一員になって、これから成長させていこうというスタートアップのような立場でしたが、今は4倍ほどの売り上げに成長し、屋台骨の一つという位置付けになりました。
村上:最近は若い世代と意識的にコミュニケーションされていると思いますが、なぜこんなに若い人を惹きつけられるのでしょう?
望月:“YSLウーマン”は誰にも媚びずに自分の芯を持っている女性と捉えています。それも共感を得る点なのかなと。
長谷:そのようなイメージは特にZ世代の方に、国を問わず共感いただけていると思います。ブランドのお客様は8割が39歳以下の方、特に20~24歳の方が多く、高校生の方や親子でご来店される方も多いんです。
03
「リブレ」、JO1効果で男性客増
村上:男性も〈YSL〉の持つイメージに共感している方は多いですよね。
長谷:男性のお客様は徐々に増えています。元々ご愛用の方も多かったんですけれど、どうしても百貨店の化粧品売り場には足を踏み入れにくいという男性も多く、JO1とパートナーシップを組むようになってからは、そのハードルが下がったのかなと思っています。
村上:美容部員にも、男性のお客様が来店されるのは当たり前という感覚がありますか?
長谷:教育もしています。例えば男性のお客様がご自身のために買いにいらしてるのに「プレゼントですか?」と聞かれるのは、「ブランドのお客様と捉えてもらっていない」と思わせてしまう原因になり得ます。無意識にお客様を傷つけてしまうことがないよう、男性も女性と同じように接客しています。
望月:男性のお客様が増えたことには、何が影響していますか?
長谷:以前からパッケージがフェミニンすぎず使いやすい、ジェンダーレスなブランドと認識していただいていましたが、JO1を起用してからはより男性客が増えたと感じます。またコロナ禍の影響でフレグランスが伸長しましたが、特に「リブレ」をきっかけに男性のお客様が増えました。
望月:「リブレ」は本当にジェンダーレスなフレグランスですよね。
長谷:このアイテムは、欧米では女性的な香りと認識されています。ただアジアや日本ではとくに若い世代で香りをより自由に楽しむ感性が育っているようで、「リブレ」発売後はお客様から“男性でも使える”“カップルでシェアしている”と自然な口コミが広まりました。
村上:美容部員にも、男性のお客様が来店されるのは当たり前という感覚がありますか?
長谷:教育もしています。例えば男性のお客様がご自身のために買いにいらしてるのに「プレゼントですか?」と聞かれるのは、「ブランドのお客様と捉えてもらっていない」と思わせてしまう原因になり得ます。無意識にお客様を傷つけてしまうことがないよう、男性も女性と同じように接客しています。
望月:男性のお客様が増えたことには、何が影響していますか?
長谷:以前からパッケージがフェミニンすぎず使いやすい、ジェンダーレスなブランドと認識していただいていましたが、JO1を起用してからはより男性客が増えたと感じます。またコロナ禍の影響でフレグランスが伸長しましたが、特に「リブレ」をきっかけに男性のお客様が増えました。
望月:「リブレ」は本当にジェンダーレスなフレグランスですよね。
長谷:このアイテムは、欧米では女性的な香りと認識されています。ただアジアや日本ではとくに若い世代で香りをより自由に楽しむ感性が育っているようで、「リブレ」発売後はお客様から“男性でも使える”“カップルでシェアしている”と自然な口コミが広まりました。
04
SNS発信、美容部員によるコミュニケーション
村上:JO1を2021年にオフィシャル ビューティパートナー、22年にジャパン アンバサダーに起用し始めた時点では、ビューティー業界の広告塔にアイドルグループを起用することはめずらしかったですよね。〈YSL〉はいち早くアンバサダーを起用したブランド、という印象です。それぞれどんな狙いで起用しているのですか?
長谷:それぞれ期待する役割が異なり、JO1は〈YSL〉の持っているジェンダーレスな部分との親和性を感じ、彼らが日本から世界に出ていこうとするチャレンジ精神に共感して起用させていただきました。予想できない組み合わせから生まれる新しい創造をしたいと考えていましたが、その通りになったのではないでしょうか。ジャパン アンバサダー兼サステナビリティ アンバサダーに起用したローラさんは日本人が憧れる理想の“YSL ウーマン”を体現している方、TWICEのSANAさんは憧れもありながら、よりユーザーが“真似してみたい”と共感できる存在として期待しています。
望月:〈YSL〉はアンバサダー起用など、デジタル×ミレニアル世代の施策に長けているイメージがあります。若い世代のお客様が一気に増えた代表的なプロモーションはありますか?
長谷:いくつか山がありました。2013年頃にインフルエンサー様と一緒に活動させていただくようになったことから始まり、20年に開設したブランドの日本公式ツイッターが日本のお客様との関係を強固にしたと思います。若いお客様が活用するものを私たちも使うようにしているので、最近はYouTubeやTikTokも活用しています。
村上:若い世代とコミュニケーションする際に、どんなことを心掛けていますか?
長谷:お客様がどういう情報を求めているかを知り、それを欲しい形で知ってもらい、楽しんでいただけるように心がけています。やっぱりワクワクするような製品だけじゃなく、インスピレーションを与えられるようなブランドでありたいので、“何か面白いことをやっているな”と思ってもらえることを常に意識しています。
望月:若いお客様が増えると、顧客と長くお付き合いをしていくことが課題になるかと思いますが、どう考えていらっしゃいますか?
長谷:若い世代のお客様は情報サーチ力が高く、プチプラコスメや韓国コスメなど自分に合った良いものを熱心に探しています。なので、「またこの美容部員さんと話をしたい」「メイクを教えて欲しい」と思っていただけるよう、接客を努力しています。
村上:どんな接客をしたらそこにたどり着けると思いますか?
長谷:製品だけではなく、お客様のライフスタイルを理解し、「なぜ、それをお求めなのか?」「何か、特別な機会なのか?」など、お客様自身に興味を持ってお話しさせていただくことが重要だと思います。身近な存在になれるよう、繋がり方も進化させたいです。
望月:ラグジュアリーなクチュールブランドとして今後、どう成長していこうと考えていますか?
長谷:若いお客様が多いブランドですから、まずは20~30代のナンバーワンブランドを目指しながら、一方で長くご愛用いただいているお客様との関係も大切にしたい。美容部員とお客様の一対一の関係をより深めたいと考えています。
長谷:それぞれ期待する役割が異なり、JO1は〈YSL〉の持っているジェンダーレスな部分との親和性を感じ、彼らが日本から世界に出ていこうとするチャレンジ精神に共感して起用させていただきました。予想できない組み合わせから生まれる新しい創造をしたいと考えていましたが、その通りになったのではないでしょうか。ジャパン アンバサダー兼サステナビリティ アンバサダーに起用したローラさんは日本人が憧れる理想の“YSL ウーマン”を体現している方、TWICEのSANAさんは憧れもありながら、よりユーザーが“真似してみたい”と共感できる存在として期待しています。
望月:〈YSL〉はアンバサダー起用など、デジタル×ミレニアル世代の施策に長けているイメージがあります。若い世代のお客様が一気に増えた代表的なプロモーションはありますか?
長谷:いくつか山がありました。2013年頃にインフルエンサー様と一緒に活動させていただくようになったことから始まり、20年に開設したブランドの日本公式ツイッターが日本のお客様との関係を強固にしたと思います。若いお客様が活用するものを私たちも使うようにしているので、最近はYouTubeやTikTokも活用しています。
村上:若い世代とコミュニケーションする際に、どんなことを心掛けていますか?
長谷:お客様がどういう情報を求めているかを知り、それを欲しい形で知ってもらい、楽しんでいただけるように心がけています。やっぱりワクワクするような製品だけじゃなく、インスピレーションを与えられるようなブランドでありたいので、“何か面白いことをやっているな”と思ってもらえることを常に意識しています。
望月:若いお客様が増えると、顧客と長くお付き合いをしていくことが課題になるかと思いますが、どう考えていらっしゃいますか?
村上:どんな接客をしたらそこにたどり着けると思いますか?
長谷:製品だけではなく、お客様のライフスタイルを理解し、「なぜ、それをお求めなのか?」「何か、特別な機会なのか?」など、お客様自身に興味を持ってお話しさせていただくことが重要だと思います。身近な存在になれるよう、繋がり方も進化させたいです。
望月:ラグジュアリーなクチュールブランドとして今後、どう成長していこうと考えていますか?
長谷:若いお客様が多いブランドですから、まずは20~30代のナンバーワンブランドを目指しながら、一方で長くご愛用いただいているお客様との関係も大切にしたい。美容部員とお客様の一対一の関係をより深めたいと考えています。
EDITOR
DEPACO編集部
編集長 望月
YSLは39歳以下のお客様でブランド全体の8割、20-24歳で3割を占めるそう。インフルエンサーやアイドルとのコラボで若いお客様が増えているとは思いましたが、そこまで若返りをしていたとは驚きました!まさにデパコスの未来を担う世代ですね。
新聞記者やビューティ業界紙の編集記者を経て、大丸・松坂屋に入社。化粧品各社の戦略やビジネスなど、ビューティ業界を見つめて早10数年。年齢に伴う肌悩みに向き合いつつ、無理をしない「ながら美容」を追求する編集部最年長。愛犬の散歩で1日平均1万歩の健脚が自慢。
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