【ママ美容:前編】Vol.3 猪狩幸子(ビューティー・エディター)<Switching Story ~“母”の顔と“私”の顔~>
目次
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01猪狩さんがエディターになられたきっかけを教えてください。
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02ビューティーに特化したエディターを選ばれた理由はありますか?
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03妊娠される前、仕事はどのように取り組まれていましたか?
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04妊娠されてから仕事に対する意識や取り組み方に変化はありましたか?
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05『BEAUTY Dept』を休止された時、どんなご心境でしたか?
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06ご出産後、子育てと仕事の両立をし始めて心掛けていることは?
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07両立していく中で変化したことや悩まれたことはどんなことですか?
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08仕事と家庭の自分を「スイッチ」するために心掛けていることはありますか?
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09お子さんのお世話で忙しい時期ですが、ご主人は子育てに参加されていますか?
01
猪狩さんがエディターになられたきっかけを教えてください。
大学生の頃からモード誌が好きで、アメリカやフランスの『VOGUE』を見てはカッコイイな、すてきだなと思って、編集者という職業に興味を持つようになりました。
当時の就職活動って大学3年の時に就職先が決まる感じで、新卒採用をしている大手出版社を受けてはいたんですが、落ちていました。でも編集以外にやりたい仕事もなかったので、大学で学んでいた国際法のゼミの研究室に入ることにして、就職活動を先延ばしにしたんです。
大学3年の時に卒業単位を取り終えていたので、4年生になったらやることがなくて、バイトでもしようかなと思っていました。そうしたらちょうど『VOGUE NIPPON(現VOGUE JAPAN)』でアシスタント募集があって、働くようになったのがきっかけです。
02
ビューティーに特化したエディターを選ばれた理由はありますか?
アシスタント募集をしていたのが、たまたまビューティーチームだったんです。当時のビューティーディレクターにも最初から「編集をやりたい」という話はしていましたが、アルバイト採用だったので、大学卒業と同時に正社員になることは難しいとはっきり言われていました。
ところが、立て続けにチームのエディターが転職したり、産休に入ることになったりで、人員不足になってしまったんです。それでディレクターもその状況に危機を感じたようでいろいろ動いてくださって、新卒で採用していただけることになりました。先輩エディターも陰ながらプッシュしてくれたようで、本当にラッキーだったと思います。
最初はディレクターに手取り足取り教えていただきました。撮影商品の貸し出しや返却作業、ポジの切り出しなどをやっていましたが、本当に楽しかったです。もともとファッションに興味があったので、ファッションページも担当してみたいな、という気持ちはありました。でもエディターになってページを作るようになったら、ファッションのような感覚的なものよりも論理的なビューティーの方により興味が出てきたんです。
コスメは採用する技術や成分によってこんな肌になれる、ということが論理的で、スッと理解できました。メイクに関しても発色とか、使って楽しいと感じられるじゃないですか。結果的に自分に合っていたという感じです。そういうことに気づいてからは、ずっとビューティー一筋です。
03
妊娠される前、仕事はどのように取り組まれていましたか?
『VOGUE』を退職してからは『etRouge(エ ルージュ)』という美容メディアにいたんですが、『VOGUE』を辞める少し前に『BEAUTY Dept』というInstagramのメディアを立ち上げるタイミングで、フォトグラファーの夫と会社を興したんです。それぞれの仕事はしつつ、私は編集やライティングを担当し、夫が撮影するようなプロダクション的な仕事も多くあって、さまざまな雑誌や広告のビューティー企画を担当させていただいていました。
なので妊娠する前というか、コロナ禍になるまで、100%仕事人間でした。仕事最優先の生活で、仕事があれば土日も関係なく働き、朝から夜までメールチェックするような日々でしたね。
でもコロナ禍になって、何もしない時期があって、仕事や自分自身・家族のことを改めて考えるようになったんです。夫と話し合ったことで「子どもが欲しい」という話になって、それから不妊治療を始めたので、割と計画的に妊娠したという感じでした。
04
妊娠されてから仕事に対する意識や取り組み方に変化はありましたか?
妊娠したことによって、思うように働けなくなりましたね。つわりはそんなにひどくなかったんですが、今まで10やれていたことが2ぐらいしかできなくなってしまって。体もですが、仕事がすごく好きなのに思うようにできないことがつらかったですね。朝起きてメールチェックをして返信をするだけで精一杯になるぐらい、気持ちが悪くて寝ていたくなる感じでした。それが2~3カ月続き、つわりが落ち着いたと思ったら、とても暑い夏が続いて(笑)。
それに高齢出産だったので、何があるか分からないと思っておびえていました。両親にも安定期に入ってから報告しましたし、仕事の関係者には妊娠したことを言えなかったですね。とにかく体調管理を最優先していたので、レギュラーの仕事と『BEAUTY Dept』以外の仕事は基本的に受けないようにしていました。コスメの新製品情報もオンライン発表会だけ参加したり、メーカーさんが送ってくれる情報から収集したりするようにして、とにかく仕事の量はセーブしていたんです。
その頃、1~2カ月に1度同じメンバーで撮影するレギュラーの仕事があったんですが、そのスタッフにも妊娠30週ぐらいになってから報告しました。男性が多いメンバーだったのと、気を遣われるのが嫌だったんですよね。割とダボっとした服を着ていたこともあって全然バレなくて。クライアントには少し早めにお伝えしていましたが、スタッフには産休に入る1カ月前ぐらいまで気づかれませんでした。
05
『BEAUTY Dept』はご出産1カ月前のタイミングで更新を休止されました。その時、どんなご心境でしたか?
『BEAUTY Dept』は、『VOGUE』で働いていた時からお付き合いのあった、エディターやライターの先輩方に依頼して原稿を書いていただいています。レビュー記事では新作コスメを中心に紹介していて、私を含めた5名で回していました。
当初、これまで通り続けられるかも……と思いもしましたが、出産してみないことにはどうなるかが想像できなかったんですよね。それに周囲の出産経験者から「子育ては大変だよ」と少し脅されていたので(笑)、少し自分に甘いかもしれませんが、無理をしないために休むことを決断しました。
現在は早く再開したい気持ちもありますが、思った以上に子育てに時間を取られているので、いつ、どういった形で実現するかを考えているところです。
06
ご出産後、子育てと仕事の両立を少しずつ始められているところだと思いますが、心掛けていることは?
仕事も少しずつ再開しているところなんですが、今までのやり方では時間的な問題があります。限られた時間の中で自分ができることを考えて、アップデートする形でやりたいと思っています。
産休に入る前から、子どもを4月から保育園に入れられることが決まっていたので、レギュラーの仕事はすでに再開していますが、他の仕事はこれから徐々に増やしていこうと考えています。
仕事で心掛けていることは、やりたいことをセーブしないようにしようということ。限られた時間ではありますが、諦めるというのはやっぱり悲しいですよね。なので諦めない気持ちをもって取り組みたいと思っています。実際にできるかできないかは置いておいて(笑)、やりたいことをやるという気持ちは大切にしています。
07
両立していく中で変化したことや悩まれたことはどんなことですか?
生後3カ月ぐらいから保育園に預けられることになったので、こんなに幼い子どもを預けていいんだろうか、という葛藤はありました。子どもの写真を見ていても、たった1カ月で顔が違うんですよね。その変化を見逃してしまうんじゃないかと最初の頃は思っていました。
でも保育園に預けずに私が家で子育てをしたとしても、仕事をしながらになってしまうので、そんなに構ってあげられないと思うんです。だから保育園に行って、みなさんに遊んでもらえたほうが幸せなんだ、と思うように切り替えました。
1歳から保育園に預けるようになった先輩ママから、子どもが人見知りで預ける時に大泣きするという話を聞いたので、ある意味、人見知りしない時期から預けたのは良かったんじゃないかと思っています。なので、ママじゃなきゃダメ、みたいなことは今のところ全くありません。
08
仕事と家庭の自分を「スイッチ」するために心掛けていることはありますか?
子どもを保育園に預けることが「スイッチ」になっています。最近はリアルで開催する新製品発表会も増えてきたので、メイクしてちゃんとした服装で参加すると仕事モードになりますね。
基本的には家で作業をしたり、撮影の時もラフなスタイルだったりするので、ちょっと整う感じもあって気分が上がります。編集部時代からヘアメイクと服は「スイッチ」になっていて、校了が大変な時こそちゃんと整えて気合を入れる、みたいなことはよくありました。
以前はリラックスするためにアロマやお香を焚いていましたが、今は子どもがいるので、仕事をする時に香りをたくようになりました。その日の気分によって香りやアイテムを変えるんですが、仕事スイッチをONにするアイテムのひとつです。
09
お子さんのお世話で忙しい時期だと思いますが、ご主人は子育てに参加されていますか?
夫はもともと家のことを積極的にやる人なんです。食事も夫が作ってくれることが多かったんですが、今は自分もこれまでにないぐらい家事をやっています(笑)。
お互いの仕事だけでなく子どものスケジュールもあるので、朝は私、夜は夫がごはんを作るという基本的なルールはあります。ただ子育てをするようになってから、相手の手が空いていない時は何も言わずに自分がやる、みたいにスムーズに行動できるようになりましたね。
以前は「食後の食器洗いは誰がやる?」「気づいたらやればいいんじゃない?」みたいな感じでしたが、ちょっと進化しましたね(笑)。おかげで規則正しい生活を送れるようになった気がします。
後編では産後のカラダや心の変化、オススメの愛用品について伺いました。
<猪狩幸子さんプロフィール>
大学在学時に『VOGUE NIPPON(現VOGUE JAPAN)』でアシスタントを経験後、大学卒業と同時にコンデナスト・ジャパンに入社。コントリビューティング・ビューティー・エディターを務める傍ら、フリーランスのエディターとしてさまざまな雑誌や企業広告の制作を行う。2018年2月にビューティーに特化したウェブメディア『BEAUTY Dept』をローンチ。現在は制作会社UNTITLED STUDIOの代表取締役・ディレクターとして、フォトグラファーの夫とともにさまざまなクリエイティブ制作を行う。
編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/鈴川 洋平
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EDITOR
DEPACO編集部
エディター 高梨
旅行誌の出版社で編集職を10年以上経験。出産を機にキャリアを見つめ直し、今後は大好きな美容の情報発信をしたいという想いでDEPACO編集部へ。美容はスキンケアやベースメイクでの“土台作り”が好き。趣味は旅と料理。
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第3回はビューティー・エディターとして活躍され、1児の母でもある、猪狩幸子さんです。