【前編:ファッションモデル/文筆家・小谷実由さんにインタビュー】モデル、文筆家、さらにはナビゲーターとしても活躍。それぞれの仕事との向き合い方とは?〈十人十色の美衣食住〉
目次
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01モデルを始めたきっかけは?
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02ファッションモデルにこだわって事務所を移籍した理由は?
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03ファッションモデルとしてどんなことを目標にしていましたか?
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04目標にしていた仕事を叶えるために、必要なことは?
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05Instagramで“好きなもの”を発信しようと思われたきっかけは?
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06エッセイ集を発刊されていますが、文章を書くことは好きでしたか?
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07モデル業と執筆業を両立されていますが、向き合い方に違いはありますか?
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08Podcastを始められたきっかけを教えてください。
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09さまざまなゲストの方の「好き」を聞いて、気づいたことはありますか?
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10ナビゲーターを務めるうえで、気をつけていることはありますか?
01
14歳でモデルを始められたそうですが、きっかけを教えてください。
子どもの頃から洋服が大好きで小学校高学年くらいからファッション誌を読み始めて、モデルになったらいろいろな服がたくさん着られるんじゃないかと思い、モデルになりたいなと思い始めました。
スポーツも勉強も得意じゃなかったんですけど、身長が小学生の時点で160cm以上あって。背が高いことだけが自分の中で誇れることだったのもあって、オーディションを受けて事務所に入ることになりました。
02
ファッションモデルにこだわって事務所を移籍されたと伺いました。ファッションモデルに絞ろうと思われたのはどうしてですか?
最初に所属していたのは芸能事務所だったので、CMやお芝居の仕事をする機会が多かったんです。何も分からなかったので、とりあえず来た仕事をやりたいと思っていましたし、とにかく楽しかったですね。
学校の部活にも入っていなかったので、どこか部活のような感覚で仕事をしていたところもありましたが、続けているうちにこの業界への憧れがどんどん募っていったので、頑張りたいという気持ちはありました。
それから大学を卒業するぐらいまで9年ほど続けていたんですが、親から「この先どうするの?」と聞かれたんです。それまでは選ぶ、選ばないではなく、来た仕事は楽しいから全部やっていたんですが、自分が何者なのかよく分からなくなっていた時期でもありました。
楽しいという思いだけで突っ走ってきたけど、もう学生ではなくなるし、この先も続けていきたいならこのままじゃダメだと思って、やりたいことをかなえる行動にシフトしていくことにしたんです。
原点回帰じゃないですけど、やっぱり洋服が大好きでファッションモデルになりたかった時の思いに立ち返って移籍を決意しました。
03
ファッションモデルとしてどんなことを目標にしていましたか?
移籍をするにあたって今後どうしていきたいかを考えた時に、憧れだった『装苑』に出たいという大きな目標を掲げました。
『装苑』は服を見せるだけではなく、しっかりとした世界観が広がっている雑誌だったので、その世界の登場人物になりたいという気持ちが大きかったです。移籍する事務所にも『装苑』に出たいと書いて資料を送ったりして、半年ぐらい経って新しい事務所が決まりました。
その後、すぐに『装苑』のページを企画している方がたまたま事務所のHPで私を見つけてくれて、撮影に呼んでくれたんです。あの事務所に入っていなかったら、そんな機会にも恵まれなかったと思います。
04
目標にしていた仕事を叶えるために、どんなことが必要だと思いますか?
新しい事務所を探している時も、ただ雑誌に出たいというだけではなく、こういうモデルになりたい、こういう人になりたいというイメージが、考えを進めるうちにどんどん明確になって。
前の事務所を退所していくつか面接を受けていたんですけど、やりたいことが明確でないうちはなかなか決まらなくて。考えがしっかりまとまってきたなと思っていた時に面接を受けた事務所でやっと所属が決まりました。
やっぱり目標が明確であることは一歩前に進む近道というか、道筋のひとつなんだと思います。
以前から、肩書きっていくつあっても魅力的なのでは?と思っていました。いろいろなことに興味があったので、モデルもちゃんとやりながら、自分の思ったものを形にできるクリエイティブなこともしていきたかったので。
憧れの人がいるというより、自分が楽しめそうだと思ったことに今もなお挑戦してる感じです。
05
Instagramでは小谷さんの好きなものが詰まった投稿が印象的です。ご自身の“好きなもの”を発信しようと思われたきっかけは?
SNSで発信を始めたのは、好きなことを仕事にできるようにしたかったからでした。
私が興味を持っていることを知ってもらいたかったですし、それにまつわる仕事ができたらいいなと思ったので自己アピールの一環だったんです。
個人的には、自分が好きなものが集まっていく投稿を眺めるのも楽しくて、いろいろなものを載せるようになりました。
以前は自分の好きなものをあまり言いたくなかったんです。秘めておいてひそかに楽しみたい気持ちが強かった。
でも発信していくうちに見てくれる人が増えて、私の投稿を見たことがきっかけで「好きなものに出合えました」「好きなものができて楽しい」という声を聞くようになって、とてもうれしかったです。
やりがいというか、人の役に立てた感じがして、そんなふうに楽しい気持ちになってくれる人が増えるなら続けてみようと思うようになりました。
好きなものをシェアすることもそうですが、見てくれる方の生活になかった気づきみたいなものになれたら本当にうれしいです。
今はSNSの他にもいろいろな形で発信する機会が増えて、私自身もとにかく楽しい!という感じです。
06
2022年にエッセイ集を発刊されました。とても読みやすく文章がお上手だと感じましたが、もともと文章を書くことは好きでしたか?
子どもの頃から書くことはすごく好きでした。頭の中を整理するために文字に書き起こして、さらにその書いたものを読んで、また自分に入れ直す作業が好きだったんです。日記だったり、覚えておきたいことだったり、考えている時は何か書いていましたね。
頭の中のものを全部出すみたいな作業なんですけど、自分と対話している感じでした。ひとりっ子なので、ひとりで何かをすることが多かったですし、自分の世界が強かったのかもしれません。
それでも本を作るのは本当に大変でした。どんな本にするのか、どういうものを出したらいいのか、自分が許せる部分と許せないけど許したほうがいい部分など、自意識との闘いの連続でつらいなと思うこともありました。
3年間Webで連載していたエッセイをまとめたんですが、書籍化にあたり加筆修正して、書き下ろしもいくつか加えました。
連載を始めた頃の自分の文章を見直すことが本当に恥ずかしくて(笑)。書き換えようかなと思う文章があっても、その時の自分の素直な気持ちなのだから残しておくべきかと思ったり、自分自身とたくさん会話した気がします。
自分のことを知らない方が読んでくれる機会にもなるかもしれないと思ったので、せっかく読んでもらえるならちゃんと伝えたいという気持ちと、すでに連載で読んでいただいていた方にも楽しんでもらえるような本にしたかったので、編集チームのみなさんからアドバイスをいただきながら加筆修正を繰り返しました。
07
モデル業と執筆業を両立されていますが、向き合い方に違いはありますか?
一貫して、やりたいと思ったことしかやらないと決めています。これは昔から変わってないですね。許容範囲の広さは変化してきていますが、全部やりたいことであるのは共通しています。
モデルは自分が主役ではなく何かメインになるものがあって、それを良く見せるための仕事だと思っています。またエッセイを書くことやナビゲーターの仕事は自分の思いを誰かに伝えることが大事なので、ちゃんと自分を持つように心がけています。
以前はモデルの仕事でもとにかく爪痕を残したいという思いが強かったので、自分のカラーを意識しすぎていたこともありました。
仕事をする機会も今より少なかったのでとにかく必死でしたし、自分である意味を示したかったのか、きっと自分にしかできないものにしたかったんですよね。
そうやって自信を持って頑張っていたのはいいことだったと思いますが、いろいろ経験して自分の立ち位置を考えるようになってからは、いろいろな役割の人がいて、自分もその中の1人で、自分のできることでみんなをアシストしたい気持ちが強くなったような気がします。
今は自分を出せる場所が増えたことによって余裕も生まれたので、撮影の状況に応じて、何がベストなのか、自分に何ができるのかを考えるようになりました。
08
2023年よりPodcastでナビゲーターを務められています。番組を始められたきっかけを教えてください。
Instagramの質問コーナーに「好きなものの見つけ方が分かりません。」という質問を何回かいただいたんですが、その質問に上手く答えることができなくてずっとその答えを考えていたんです。
私は子どもの頃から好きなものがはっきりしていて、好きなものに今までたくさん救われてきたので、好きなものがあることは日常生活でとてもいい影響があると思っています。
絶対にあるべきだとは思いませんが、この素晴らしさをどうやったら提案できるだろうと考えていました。
ものの良さを伝えても響かなかったらそこで終わってしまうけど、その人が好きになった理由、好きなものとの出合いや心境などに共感できたら、それが自分にとっては何だろう?と思い返して、好きなものを引き出せるきっかけになるんじゃないかと思ったんです。
それでいろいろな方の好きの気持ちに対するディテールについて知りたくなったのと、そういう話を聞くことが好きだったので番組を始めました。
人それぞれ好きとの出合い方や心境は多様なので、ゲストの方の話を聞いて、ラジオを聴いてくれる方が好きなものに出合うヒントになったらいいなと思っています。
09
さまざまなゲストの方の「好き」を聞いて、気づいたことはありますか?
好きなものを通してゲストの方を知るのは、とても有意義な時間だと毎回思っています。仲がいい友人が来てくれる時もありますし、初めましての方、ずっと話してみたかったけど話す機会がなかった方など距離感はそれぞれですが、好きなものの話をしてる人の表情ってすごく素敵なんです。
気持ちは共感できるけど好きなものが違ったり、好きなものが同じでも見ているポイントが違ったりすることも面白い。
これまで知らなかった「好き」の新たな魅力に気づけますし、新しい「好き」との出合いもあって、リスナーに感じてほしいことを私が一番感じています(笑)。
10
ナビゲーターを務めるうえで、気をつけていることはありますか?
ラジオなどの音声コンテンツは目に見えないですし、声だけしか伝える手段がないので、できるだけ分かりやすく、聴いている方の耳にスッと入るようなシンプルな言葉を選ぶように心がけています。
普段はあれもこれも言いたくなってしまうので、話が長くなりがちなんです。でもラジオでは丁寧に説明しすぎると、リスナーの想像力を奪うことになってしまうんですよね。余白があるぐらいでちょうどいいということは、続けてきて学んだことです。
モデルや執筆は長く続けてきたことですが、これまで経験したことがない新しいジャンルに挑戦するのは久しぶりだったので、自分の変化も面白いですし、今一番楽しんでいる仕事のひとつです。
これまでは失敗することが怖くてめちゃくちゃ準備していました。今も準備をすることは変わりませんが、何か失敗することがあっても次回に生かすことができる、トライ&エラーを繰り返せる場所であることもありがたいです。
おかげでハートも強くなってきて、たとえ失敗しても着実にやっていこうという気持ちが持てるようになりました。試してみたいことをすぐに実践できて挑戦し続けられる場所ですし、今までやってきたことと全く違うところも新鮮です。
後編では、小谷さんの好きなものやメイク・スキンケアについて伺いました。
<小谷実由さんプロフィール>
ファッション誌や企業広告などでモデルとして活躍する傍ら、エッセイの執筆も多数行い、文章力の高さを評価されている。2022年には日々のあれこれをつづった初のエッセイ集『隙間時間』(ループ舎)を刊行。Instagram(@omiyuno)では自身の「好きなもの」を中心に発信し、フォロワーは10万人を超える。2023年からJ-WAVE original Podcast番組『おみゆの好き蒐集倶楽部』のナビゲーターを務めるなど、活躍の場を広げている。
編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/三浦 藤一、ヘアメイク/鶴永 チヒロ、撮影協力/twililight
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EDITOR
DEPACO編集部
エディター 高梨
旅行誌の出版社で編集職を10年以上経験。出産を機にキャリアを見つめ直し、今後は大好きな美容の情報発信をしたいという想いでDEPACO編集部へ。美容はスキンケアやベースメイクでの“土台作り”が好き。趣味は旅と料理。
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“十人十色の美衣食住”
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。
今回のゲストはファッションモデルとして活躍する傍ら、日々のあれこれをつづるエッセイストでもある小谷実由さんです。Instagramでご自身の好きなものを中心とした発信をし、2023年からはPodcastのナビゲーターを務めるなど活躍の場を広げています。今回は小谷さんの幅広い仕事への取り組み方やたくさんの「好き」なものについてお話を伺いました。