【デパコス名鑑Vol. 13】〈ゲラン〉サステナブルな香水、アクア アレゴリアに迫る!
01
約200年の歴史をもつ老舗フレグランスメゾン
HANACO(右):今回ご紹介するのは、〈ゲラン〉のなかでは比較的新しい香水である「アクア アレゴリア」シリーズ。新しいとはいえ誕生からすでに25年近く経っているわけですが、それでも〈ゲラン〉の歴史を思えば、新参の部類ですよね。
下渡(左):〈ゲラン〉がフランス・パリで、フレグランスメゾンとしての歴史をスタートしたのが、およそ200年前の1828年。創業から現在まで1,100種類以上のフレグランスを創りだしていて、そのひとつが1999年に誕生した「アクア アレゴリア」シリーズです。
HANACO:すぐにはピンとこないほど長い歴史ですが…。創業当時のヨーロッパは、貴族社会。そのなかで、どのようにして今のようなメゾンになっていったのでしょうか?
下渡:パリで地位を確立したのは、創業者で、初代調香師でもあるピエール フランソワ・パスカル・ゲランが、1853年にナポレオン三世の妃であるユージェニー皇后にフレグランス「オーデコロン イムペリアル」を献上したことがきっかけです。ユージェニー皇后は、今でいうインフルエンサーみたいな存在で。彼女が愛用したことで、貴族社会のなかでいっきに「〈ゲラン〉のフレグランス」の人気が広まったと聞いています。ナポレオン家の紋章であるミツバチをあしらった「ビーボトル」は、今でも〈ゲラン〉のアイコニックな意匠になっています。
HANACO:そこからずっとフレグランスメゾンとして、多くの人々に支持されてきたわけですね。私も「フレグランスといえば〈ゲラン〉」という印象があって、いつかは自分のものにしたい、憧れの名香がたくさんあります。
下渡:フランスは、フレグランスの文化が根付いている国。香りは、“自分の存在を証明するもの”というだけでなく、家族の歴史にも溶け込んでいるものなんです。たとえば、親が16歳になる子どもにファーストフレグランスを贈るという風習があって、そのアイテムとして最もよく選ばれるのが〈ゲラン〉と言われています。「3代そろって〈ゲラン〉の香水を愛用している」ということがよくある話なのは、私たちの長い歴史があってこそだと思います。
HANACO:長い歴史のなかで、ファンを裏切ることなくフレグランスを創り、継承してきたブランドだからこその逸話ですね。では次は、その歴史を支えてきた調香師についてお伺いします。
02
“名香”の伝統を受け継ぐ調香師たち
HANACO:〈ゲラン〉といえば、創業者をはじめ、調香師のトップであるマスターパフューマーをゲラン家の方が受け継いで、伝統の香りを継承されてきたブランドでした。2008年に5代目調香師としてティエリー・ワッサー氏が、はじめてゲラン家以外から選ばれましたね。
下渡:名香の品質を維持しつづけるという才能、そして新しい香りをクリエイションできる才能。そのふたつをもっているのがティエリーでした。名香といわれるフレグランスが多いからこそ、“維持”という点も、マスターパフューマーの重要なミッションなんです。
HANACO:「ミツコ(1919年発売)」「シャリマー(1925年発売)」「夜間飛行(1933年発売)」など、これぞ名香!と言いたいフレグランスがたくさんあって、それがいまだに販売されているというところが、〈ゲラン〉のすごさでもありますよね。
下渡:1912年に誕生した「ルール ブルー」をはじめ、100年越えもありますから(笑)。もちろん、ものによっては時代に合わせて再構築するんですけど、これらの名香のレシピはほぼ変えていません。今まで100年近く続いたものを、さらに100年以上また維持していけるように、香りに必要となる原材料を大切にしているんです。
HANACO:香料の一つひとつにも、大変こだわられているんですよね。
下渡:希少な天然の香料を、とても贅沢に使っているのが〈ゲラン〉の誇りです。その貴重な原材料を持続して使用するため、調香師のティエリーは1年の3分の1を費やし、世界中を旅して農園をまわっているんです。100年前とは気候や労働などの条件が変わるなか、名香の品質を保つための原材料を常に探し求めつつ、長い付き合いの契約生産者に大切に育ててもらっています。
HANACO:希少な香料を、ある日突然「使いたい!」と言っても、なかなか手に入らないですもんね…。生産者との信頼関係があってこそだと思います。ここ数年、コスメ業界でもSDGsやサステナビリティが重要視されるようになってきましたが、〈ゲラン〉ではそのずっと前から持続可能性に取り組んでいたということですね。
下渡:原材料となる植物を刈りつくすことをしないし、購入時に買いたたくこともない。生産に携わってくれる女性の地位が低い地域では、その保護にも尽力して。原材料の持続可能な調達や生産者の保護というのを、本気でブランドの使命として行っています。
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サステナビリティを体現する「アクア アレゴリア」
HANACO:「世界中の美しい庭園を描いた、シンプルで洗練された香りのコレクション」という「アクア アレゴリア」シリーズは、〈ゲラン〉のサステナブルな精神を体現しているものだと思います。2022年5月にリニューアルして、よりサステナブルなフレグランスへと進化したということですが。
下渡:天然由来の素材の香りを存分に引き出すことで、自然の恵みを感じられるのが「アクア アレゴリア」シリーズの魅力。そのコンセプトや香りについての基本的なことは変わらないまま、よりサステナビリティを意識した進化になっています。リニューアルしたポイントは、90%(※)以上の天然由来成分を配合したナチュラルフォーミュラになったこと、有機ビーツ由来のオーガニックアルコールの使用、リサイクルガラスを15%以上使用したボトル、ボトルを再利用できるレフィル仕様です。
※ISO16128に準拠
HANACO:1999年から展開されている「アクア アレゴリア オーデトワレ」は、〈ゲラン〉のそれまでのフレグランスの印象である“重厚さ”や“大人の洗練”だけでない軽やかさがあって、幅広い層の心をグッと掴みました。そんな香りの印象は変わらないまま、手にする私たちのエコ意識も高められるって、すばらしいですよね。
下渡:デビュー当時から続く3つの香りのカテゴリーもそのままで、花々の陽気な香りを表現した「ブライト フローラル」、果樹園のジューシーさを感じられる「サニー フルーティ」、フレッシュで爽快な「バイブラント シトラス」があり、全12種類の香りを展開しています。
HANACO:そして2022年8月には、オーデパルファンの「アクア アレゴリア フォルテ」が登場。2023年5月には、従来品よりさらに素材にフォーカスしたオーデトワレ「アクア アレゴリア ハーベスト」を数量限定発売されて、シリーズとしての奥行きが深まりましたね。
下渡:3つのラインそれぞれの魅力があり、「ローザ ロッサ」など同じ名前をもつフレグランスでも香りの構築が違うから、ニュアンスの異なる香りを楽しめます。軽やかに香り立つオーデトワレの「アクア アレゴリア」は、春夏シーズン向きと思われていましたが、深みがある香りのオーデパルファンが加わることで、秋冬シーズンにも楽しんでもらいやすくなりました。
04
生産者の顔が見えるフレグランス
HANACO:今年登場した「アクア アレゴリア ハーベスト」は、ハーベスト(=収穫)という名前からもわかるように、自然の恵みである“素材”への思いが詰まっているそうですね。
下渡:アイコニックな3つの香りである「マンダリン バジリック」「ローザ ロッサ」「ネロリア ベチバー」を、基本の構成は変えず、核となるひとつの素材にフィーチャーして創ったのが「アクア アレゴリア ハーベスト」。これには、〈ゲラン〉と生産者たちの情熱的なストーリーが詰まっているんです!
HANACO:先ほどお伺いした、農園や生産者を大切にする精神が、とてもわかりやすく表現されたコレクションということでしょうか。
下渡:そうなんです。野菜の直売所で見かける「◎◎さんのニンジン」みたいに(笑)、生産者の顔が見えるフレグランスになっています。たとえば「マンダリン バジリック」なら、イタリア南部・カラブリアのレアンドロさん一家に、3世代にわたって特別に生産してもらっているマルツォーロ マンダリンを使用。あえて完熟する前に収穫して、ほろ苦いアクセントを加えています。
HANACO:ちょっとビターな感じがあって、ただフレッシュなだけでない爽やかさがありますね。他の素材でいうと、バラに並々ならぬこだわりがある〈ゲラン〉ですから、「ローザ ロッサ」のバラも…。
下渡:「アクア アレゴリア ハーベスト」の香り自体のクリエイションは、デルフィーヌ・ジェルクという調香師が手がけていますが、バラの監修はティエリーなんですよ。「ローザ ロッサ」では、バラの名産地として知られるフランス・グラース産のセンティフォリア ローズを蒸留したオーガニックローズウォーターを使用しているのが特長。それにブルガリア産とトルコ産のローズエッセンスを加え、摘みたてのバラの複雑で繊細な香りを再現しています。
HANACO:農園では、摘み方にもこだわっていると聞いたことがあります。
下渡:たとえばグラース産のローズは、一つひとつ、人の手で収穫されます。それも、朝露がきらめく夜明けのうちに。朝摘みの取れたてローズの香りがそのまま詰め込まれているから、いい意味でローズっぽくない、フレッシュさが感じられると思います。〈ゲラン〉が契約している生産者は、育て方、摘み取り方、エッセンスの抽出方法など、すべて伝統的なものを継承しているんです。それを、ティエリーをはじめとする調香師らが、農園に足を運んでチェックするだけでなく、ときには自らも畑を耕したり収穫したり…。
HANACO:原材料にかける情熱がすごい!この「アクア アレゴリア ハーベスト」は、それほど希少な素材を使用しているから数量限定発売なのだとか。ぜひ、手に入れていただきたいですね。
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自分だけの香り立ちを楽しむミクソロジー
HANACO:現在は期間限定で3ラインがそろう「アクア アレゴリア」シリーズですが、つけ方のおすすめはありますか?
下渡:「アクア アレゴリア」では、いくつかの香りをレイヤードする“ミクソロジー”という楽しみ方をおすすめしています。同じ場所に重ねるというより、手首と足首など、別の場所にまとうのがポイント。そうすることで、それぞれのフレグランスの完成度を保ったまま、自分だけの香りに変化させることができます。
HANACO:オーデトワレのなかで異なる香りをレイヤードしてもいいし、同じ香りがベースとなるオーデトワレとオーデパルファンを重ねるのも、香り立ちの変化が楽しめそう。フレグランスって自分を表現するものだから、自分だけの香り立ちにできるのはうれしいですね。
下渡:「アクア アレゴリア」シリーズは、すべての製品に、基調となる香料としてベルガモットが入っているんです。だから、どんなかけ合わせをしても、きれいになじむ。ひとつの香りをまとうだけでなく、いくつか集めてコレクションする楽しさもありますよ。
HANACO:すでに、いくつか欲しくなっています(笑)。最近ずっと「コスメを通してできるサステナブルな行動は何か」と考えていたのですが、サステナビリティに配慮された製品を使うのがそのひとつ。いろいろな意味で自分の気分を上げられるアイテムとして、これからも大切に付き合っていきたいと思います。
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「アクア アレゴリア」の歩み
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EDITOR
DEPACO編集部
エディター HANACO
女性向けメディア・PRを経験し、再び編集職へ。出産を経て、肌質や体質の変化を目の当たりにし、美容への興味関心が益々高まり中。最近は、麹を使った料理や甘酒などを取り入れ、腸活に励む日々。
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第13回は、フレグランスメゾンとして200年近くの歴史を誇る〈ゲラン〉が展開するフレグランス コレクション「アクア アレゴリア」。
この香水の虜になったひとりであるHANACOが、ゲラン株式会社 PR&コミュニケーション マネージャーの下渡恵子さん(以下、下渡)に、お話を伺いました。