

【月岡ツキさん/コラムニスト】「武装しなくても伝えられる」。月岡さんが見つけた、自分らしい美しさとは?〈十人十色の美衣食住【後編】〉

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月岡さんがスキンケアやメイクでこだわっていることを教えてください
メイクで一番意識しているのは、品良く見えるようにすることです。
もともと顔立ちがあっさりしているので、人によっては落ち着いた印象を持たれることも多くて、「話してみると全然違うね」と言われることが多いです。話すと男っぽいというか、どちらかと言えばくだけた感じだと思うので…。
メイクは色や要素を足しすぎず、全体のバランスが落ち着いて見えるようにしています。最近は着物を着る機会もあるので、和装にも自然になじむ色味を選ぶことが増えました。
特に気に入っているのが、〈カネボウ〉のベージュ系のリップです。
ベージュリップは顔色が悪く見えるイメージがあって避けていましたが、これは自然に血色感が出て、とても使いやすいんです。最近は洋服でも和服でもほとんどこればかり使っています。
20代の頃は今とはかなり違って、金髪のショートカットにして、真っ赤なリップを塗るようなタイプでした。当時は「私はここにいるぞ」「軽く見ないでほしい」という気持ちが強くて、ある意味では自分を表現するための武装だったのかもしれません。
社会に対する違和感や怒りもたくさんありましたし、目立つ色を選ぶことで自分を主張していたところがありました。
その当時は、こんな落ち着いた色をつけようなんて思いもしなかったですね。もちろん、その頃は自分に必要なスタイルだったと思います。
ただ、年齢を重ねる中で、自分の内面と少しずれているような感覚や、常に武装をしていることにも疲れて、少しずつ変化していきました。
コロナ禍を経て長野に移住し、生活そのものが落ち着いてきたことも大きかったと思います。今は以前ほどメイクで強く主張しなくても、自分の考えや伝えたいことを表現できるようになったので、真っ赤なリップで存在を示さなくてもいいという感覚になったんです。また真っ赤なやつを塗りたくなる時期も来るかもしれませんが。
〈スック〉のアイシャドウパレットは、パッと見は控えめだけど、重ねることで奥行きが出るような色や質感に引かれます。程よいキラキラ感がある色も入っていて、いい味を出すんです。
以前は韓国コスメのもっとラメ感が強いものを使っていましたが、最近はさりげなく光るくらいが気分です。
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それ以外で美容のために心がけていることや習慣はありますか?
美容習慣として長く続けているのは髪のケアですね。髪は腰ぐらいまであるので、日頃からできるだけ丁寧に扱うようにしています。
とくに欠かせないのが頭皮のケアです。最初に勤めた会社で異動する際、先輩方からプレゼントしていただいた頭皮用のブラシを、もう10年近く使っています。
夜に髪を洗って乾かした後、このブラシで髪が生えている方向とは逆にブラッシングをして、頭皮を刺激するのが日課になっています。そうすると心地よくリフレッシュできて寝つきもいいので。
もう一つ愛用しているのが、長野県木曽地方の職人さんが作った伝統工芸品である「お六櫛(おろくぐし)」です。
職人さんが一つひとつ手で作る櫛で、歯が極細なんです。木曽へ旅行した際に出合ったもので、櫛屋さんの女将さんが白髪でも驚くほど髪がきれいで、「毎日この櫛でとかしているからよ」とおっしゃっていたんです。
その言葉に説得力があって、夫にプレゼントしてもらいました。もう3年ほど愛用していて、椿オイルを髪につけてからとかすようにしています。ケースは京都の〈かづら清老舗〉で購入したものです。サイズがお六櫛にもぴったりでした。
特別なことをしているわけではないのですが、気に入った道具を長く使いながら、シンプルなケアを続けています。
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愛用しているアイテムを教えてください。
私は普段デスクワークが中心なので、仕事中に机の横でお香をたくのが好きなんです。
なかでも今一番気に入っているのは、〈RESCENT〉のこの香りです。白檀や乳香、緑茶、梶、ミカンの花などを使った、爽やかさのある香りで、少しハッカにも似たような清涼感があるんですよね。リラックスしすぎるというよりは、気分がすっきりして集中しやすくなるので、仕事中にもぴったりなんです。
このお香との出会いも偶然でした。佐賀で活動されている器の作家さんのお香立てを購入した際に、おまけとして同封されていたんです。同じ佐賀で作られているお香だそうで、当時はオンラインでも販売していなかったので、作り手の方にInstagramのDMを送って直接購入しました。
ルームフレグランスなども使いますが、お香のほうが香りの持続性がありますし、服や部屋にもふんわり香りが残るところが気に入っています。毎日の仕事時間を心地よくしてくれる、なくてはならないアイテムですね。
これは本を入れるための手編みのブックカバーです。初めて本を出版したときに、仲の良い先輩が本の表紙に合わせた色を選んで編んでくれたもので、すごく嬉しかったです。本はバッグの中で角が擦れたり折れたりしやすいので、外出するときはいつもこのカバーに入れています。
もう一つは、海外駐在中の幼なじみが編んでくれたコースターです。現地で編み物を覚えたそうで、私が遊びに行ったときにプレゼントしてくれました。実は大きなブランケットも編んでくれていて、そちらも自宅で愛用しています。仕事中はこのコースターの上にお茶を置いて、お香をたきながら作業するのが定番です。
さらに、Podcastのリスナーさんが番組カラーをイメージして編んでくださったコースターもあります。イベントの差し入れとしていただいたもので、毎日使っています。
自分でも編み物を始めてみたいと思うことはあるんですが、いろんな方が編んでくれた可愛いものをたくさんいただいたので、まずはこれを大事に使おうかなと思っています。
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長野へ移住後に始めたことはありますか?
デスクワーク中心の生活で運動不足を感じていたことと、姿勢を改善したいという気持ちからバレエを始めました。
最初はまったくの初心者でしたし、大人になってから始めたので、とにかくひたすら練習していました。多い時は週7日レッスンに通うほど熱心に続けていて、大人向けのバレエコンクールにも挑戦しました。そこで初心者部門に入賞し、副賞としてドイツのバレエ学校でレッスンを受ける機会をいただいたんです。
一週間ぐらいの観光も兼ねた滞在でしたが、レッスンの基礎などはこれまでと共通している一方で、本場の先生から細やかな部分までこだわってご指導いただき、本当に良い経験になりました。そんな感じで丸四年ほど続けて、最近ようやくトウシューズを履いて踊る練習ができるようになりました。今回持ってきたトウシューズは、私にとって努力の結晶のような存在です。
バレエは汗をかいて代謝が良くなるので肌も調子が良いですし、レッスン後はフェイスラインもすっきりするように思います。
今は週3~4回のペースで通っています。これぐらいのペースを維持していないと、せっかく覚えたことも忘れてしまいますし、体型維持という意味でもちょうどいいんです。美容だけでなく、メンタルや健康面にも良い影響を感じています。
始めた頃は毎日筋肉痛でしたし、自分が鏡に映る姿を見るのがイヤでした。「下手だし、身体も大きいし」と落ち込むこともありました。教室には細くて上手な子どもたちがいて、なおさら自分との差を感じていました。
通っている教室には大人のクラスもあって、最初はそのクラスでレッスンを受けていたんですが、先生から「本気でやりたいなら子どもたちと同じレッスンを受けなさい」と言われて、中高生の子どもたちと一緒のクラスに通うこともありました。
クラスの中で私が一番下手という環境でしたが、「大人だってやればできる」という気持ちで必死に練習していましたね。
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美容や健康に対する考え方は、年齢とともに変わりましたか?
美容で一番大切だと思っているのは、結局は基礎だと思います。睡眠、食事、お風呂、保湿といった基本的なことですね。
今33歳なので、肌の変化を感じることもあります。高価な化粧品を試すこともありますがそれ以上に、ちゃんとバレエのレッスンに通っている時のほうが圧倒的に調子がいいんです。
だから、どんなに良い化粧品を使っても、まずは生活習慣という土台が整っていないと意味がないんだなと思うようになりました。
夫が早寝派なので、私もなるべく夜12時ごろには寝て、朝は8時前後に起きる生活です。理想は8時間睡眠ですが、難しい日でもできるだけ7時間は確保したいと思っています。
食事については、バレエのコンクールに向けて体づくりをしていた時期にかなり見直しました。その時に気づいたのは、プロテインだけに頼るのではなく、食事からしっかりタンパク質を摂ることが大事だということです。
バレエ教室にいるスタイルの良い先輩から教えていただいて、朝ごはんをしっかり食べるようになりました。ご飯、納豆、キャベツと卵の入った味噌汁、それにキウイ。この組み合わせが私にとっての“黄金セット”です。
朝にきちんと栄養を摂ると、日中に変なお腹の空き方をしませんし、お菓子を食べたくなることも減ります。昼食や夕食の量も自然と整うので、体調も体型も安定しやすい気がします。
今はコンクール当時ほどストイックではありませんが、「自分の体には何が合うのか」はその時にかなり理解できたと思います。少し体が重いなと感じたら食事を見直すなど、自分の状態を確認する一つの基準にもなっています。
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最近気になっていることや、夢中になっていることはありますか?
最近は着物に夢中です。
きっかけは、昨年着物関係の仕事をしている友人と一緒に浴衣で出かけたことでした。その人が本当に素敵に着こなしていて、「私もこんなふうになりたい」と思ったんです。
着付け教室に通ったほうがいいのかなと思ってその人に相談したところ、「まずはYouTubeの着付け動画を見ながらでもいいから、とにかく着て出かけるのが一番」と言われて。それ以来、自分で着る練習を続けています。
最初は上手く着られないことも多かったんですが、少しずつきれいに着られるようになってきました。まだ名古屋帯でお太鼓を結ぶのは苦手なので、普段は半幅帯を使うことが多いですね。
最近は浴衣を着物っぽく着るのが流行っていて、襟を入れて、足袋と草履を合わせて楽しんでいます。浴衣を着物風に着て半幅帯のスタイルは比較的ハードルが低くて、始めやすかったです。
今日着ているのは竹田嘉兵衛商店という老舗の有松絞りの浴衣で、帯は須賀恭子さんという作家さんが織った草木染めの半幅帯です。帯留めも伝統的な蒔絵の技法を使ったClassic Koというアクセサリーブランドの作品で、着物を着るようになってから、こうした作り手の存在にも興味を持つようになりました。
長野の冬は寒いので着物を着るには少し気合いが必要なんですが、今年は季節を問わずもっと着物を楽しみたいと思っています。
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今後挑戦してみたいことはありますか?
文章を書くことは、これからもずっと続けていきたいと思っています。エッセイはもちろんですが、いつかフィクションにも挑戦してみたいですね。
その一方で、人の話を聞いて、それを本という形にまとめる仕事もとても好きだと感じています。
9月に太田出版から出る新しい本は『今世は母になりません』というタイトルで、子どもを持たない選択をした既婚女性たちに話を聞いてまとめた一冊です。
インタビューとエッセイを組み合わせたような内容なんですが、取材を通じてさまざまな人生や価値観に触れられたことがとても面白くて、こうした仕事も続けていきたいと思っています。
最近は着物にも関心があるので、いつか着物に関わる女性の職人さんや作家さんのもとを訪ねて、お話を聞いて回るような取材もしてみたいですね。
織り手や染色家など、ものづくりに携わる魅力的な女性がたくさんいらっしゃるので、その方たちの言葉を記録する仕事ができたら面白そうだなと思っています。
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月岡さんにとって、人には理解されないかもしれない(もしくは理解されなくてもいい)けど自己満足のためだけにやっていらっしゃる趣味や習慣などはありますか?
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月岡さんにとっての「美」とは?ご自身の生活のなかで「美」はどのような存在ですか?
前編では、月岡さんが大切にしている価値観や、人との対話について伺いました。
前編記事を読む >><月岡ツキさんプロフィール>
著書『産む気もないのに生理かよ!』をはじめ、子どもを持たない選択や夫婦のあり方、多様な価値観について発信している。Podcast番組『となりの芝生はソーブルー』では、異なる立場や考え方を持つ人との対話を大切にしながら、社会や暮らしについて語っている。近著に『傷つきながら泳いでく』(朝日新聞出版)、2026年9月に『今世は母になりません』(太田出版)を出版。
Instagram:@tsukky_dayo
『今世は母になりません』販売ページ(amazon):https://amzn.asia/d/01yEzu1a
編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/三浦 藤一
EDITOR

DEPACO編集部
エディター 高梨
旅行誌の出版社で編集職を10年以上経験。出産を機にキャリアを見つめ直し、今後は大好きな美容の情報発信をしたいという想いでDEPACO編集部へ。美容はスキンケアやベースメイクでの“土台作り”が好き。趣味は旅と料理。
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“十人十色の美衣食住”
前編記事を読む >>ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。
今回のゲストは、コラムニストとして活動し、著書『産む気もないのに生理かよ!』やPodcast番組『となりの芝生はソーブルー』で注目を集める月岡ツキさんです。長野での暮らしを楽しみながら、自分らしい生き方や価値観を発信しています。価値観の異なる人との対話を大切にする理由、美容や健康との向き合い方、長野移住後に始めたバレエ、夢中になっている着物のこと、そしてこれから挑戦したいことまで。等身大の月岡さんが「今」感じていることを伺いました。