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【月岡ツキさん/コラムニスト】「こういう生き方もある」を伝えたい。月岡ツキさんが大切にする対話と価値観とは?〈十人十色の美衣食住【前編】〉

【月岡ツキさん/コラムニスト】「こういう生き方もある」を伝えたい。月岡ツキさんが大切にする対話と価値観とは?〈十人十色の美衣食住【前編】〉

DEPACO編集部
エディター 高梨
2026/09/02

“十人十色の美衣食住”
ひとそれぞれ、さまざまな「美」を大切にされている方々に迫ります。

今回のゲストは、コラムニストとして活動し、著書『産む気もないのに生理かよ!』やPodcast番組『となりの芝生はソーブルー』で注目を集める月岡ツキさんです。長野での暮らしを楽しみながら、自分らしい生き方や価値観を発信しています。価値観の異なる人との対話を大切にする理由、美容や健康との向き合い方、長野移住後に始めたバレエ、夢中になっている着物のこと、そしてこれから挑戦したいことまで。等身大の月岡さんが「今」感じていることを伺いました。

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プロフィール

01
IT企業へ勤められていますが、エッセイなどを書くようになったきっかけを教えてください

大学生の頃からフリーペーパーの制作を手伝うなど、もともと文章を書くことが好きでした。社会人になってからもブログやnoteを書いたり、たまに副業としてコラムを書く仕事をいただいたりしていたんです。
小さい頃から文章を書く仕事に憧れはあったのですが、文章を書いて生計を立てるのは一握りの人だけができることだと思っていたので、まずは会社員として働いていました。それでも「いつか本を出したい」という気持ちはずっと心のどこかにあったんです
でも29歳の頃に「このままでは本は出せないな」と気づいて。そこで、文章を書くということをちゃんとやってみようと思い、勤めていた会社を辞め、週3日勤務の会社へ転職して空いた時間を執筆に充てるようになりました。
その頃にPodcastを始めて、そのリスナーだった編集者の方が新卒ぐらいから続けていたnoteも読んでくれていて、「このテーマで本を書きませんか」と声をかけていただいたことが、書籍出版につながりました。
会社員をしながらも一番好きだったのは文章を書くことでした。それを仕事にしたいと思い、本格的に取り組み始めたのが大きな転機だったと思います。

IT企業へ勤められていますが、エッセイなどを書くようになったきっかけを教えてください

02
著書の『産む気もないのに生理かよ!』では、「子どもを持ちたいと思えない」ことについて書かれていますが、独身の時からそのように考えていましたか

子どもを持ちたくないと明確に考えていた時期があったというよりは、その前提にある結婚制度そのものに以前から少し懐疑的なところがありました
たとえば名字を変更するのは94%が女性ですし、女性が相手の家に入るような価値観もどこかに残っています。そうした構造に違和感があって、自分はあまりそこには乗らずに生きていくのかもしれないと思っていました。
また、結婚したら次は子ども、子どもが一人生まれたら次は二人目、といった人生の流れが当たり前のように語られることにも疑問がありました。人生がすごろくのように進んでいくような前提になっていますが、本当にみんなが自分の意思でそれを選んでいるのだろうか、と。
本来なら「持つ」「持たない」は対等な選択肢であるはずです。しかし社会のなかでは「持つ」ことが前提になっているように感じていました。私はそういう前提に対して、一度立ち止まって考えてしまう性質なんだと思います。
その延長線上で自分自身も子どもを持つかどうかを考えた時、「持たない」という選択が自然なものとして見えてきた、という感覚に近いですね。

著書の『産む気もないのに生理かよ!』では、「子どもを持ちたいと思えない」ことについて書かれていますが、独身の時からそのように考えていましたか

03
東京から移住されて半年ほどでご結婚されたそうですが、どのような流れで決断されましたか

コロナ禍の頃、東京で一人暮らしをしていたのですが、ワンルームでずっとリモートワークをしていて、外出もほとんどできない生活が続いていました。
それまで「一人でも十分生きていけるだろう」と思っていたんです。働いて、友人と会って、老後に備えて貯蓄をして、一人で暮らしていく人生を想像していました。
でも、あの時期に誰とも会わずに過ごしたことで、「まるっきり一人」という状態の現実を初めて実感しました。私はそれに耐えられるほど強くはないのかもな、と。そこで会社で実家からのリモートワークが認められたこともあり、長野の実家に戻ることにしたんです。家族とべったりというわけではないのですが、やはり誰かがいる場所で暮らしたいという気持ちがあったんだと思います。
その頃、軽い気持ちでマッチングアプリを始めました。その中でやり取りが続いたのは夫だけだったんですが、メッセージの段階から話が合って、会ってみても自然に会話ができたんです。「この人とは馬が合うな」と感じました。
私自身、それまでおつき合いしても長続きすることがあまりなかったんですが、夫とはとにかく会話が心地よくて、お互いの考えをやり取りできる。本が好きという共通点もあって、一緒に書店へ行くだけでも楽しい。何より「ちゃんと心の深いところで会話できる人に初めて出会った」と感じました。
私は結婚制度そのものに少し懐疑的なところがありましたが、夫もまた、結婚によって女性側に負担が偏りがちな社会のあり方に違和感を持っていました。結婚するなら名字を変えるのは自分が担いたい、と話してくれたこともあって、この人なら一緒に暮らしていけそうだと思えたんです。
つき合い始めてからもその居心地の良さは変わらず、友達のような感覚もありながら信頼できる存在でした。自然と将来の話をするようになり、「どうする?」「結婚する?」という流れで話が進み、交際から半年ほどで結婚を決めました。

東京から移住されて半年ほどでご結婚されたそうですが、どのような流れで決断されましたか

04
旦那さんとは「子どもを持たない」ことについて話し合いはしましたか

はい、何度か話し合いました。私たちは普段からよく話をするので、その延長線上で「ぶっちゃけ、どう思う?」という感じで、お互いの気持ちを率直に話していました。
最初から二人とも明確な考えを持っていたわけではありません。でも、結婚したら子どもを持つのが当たり前、という考え方にはお互いに違和感がありました。
夫は医療職なので、子育てや家庭の問題がきっかけで心身の不調を抱えてしまう方々とも日常的に接しています。そのため、子育てを理想的なイメージだけで捉えているわけではなく、現実的な大変さもよく知っていました
そうした話も含めて、「自分たちはどうしたいんだろう」「私たちにとって幸せな形は何だろう」と何度も話し合いました。そのなかで、お互いの考えが少しずつクリアになっていった感覚があります。私自身は、一冊本を書いたことで、自分の考えがより整理された部分もありました。
私たちの場合、「子どもが嫌いだから持たない」とか、「仕方なく諦めた」という感覚ではないんです。むしろ、二人で生きていくことを前向きに選んだという認識に近いですね。
「子どもを持たない」と言うと、何か本来あるはずだったものを手放したように受け取られることもあります。でも私たちにとってはそうではなくて、二人でいること自体がとても楽しいですし、この形が一番幸せだと思えたから選んだものなんです。諦めではなく、とても前向きな選択だったと思っています。

旦那さんとは「子どもを持たない」ことについて話し合いはしましたか

05
ご結婚後は、周囲からの風当たりや、何気ない言葉に傷つくことはありませんか

夫の両親はとても放任主義で、「大人同士なんだから、自分たちの好きなように生きればいい」という考え方でした。義母はむしろ私の本をたくさん買って知人に配ってくれたくらいで、とても応援してくれています。
一方で、実母は最初の頃、「そんなに意地を張らないで子どもを産んでみたらいいのに」という考えでした。私が意地を張っていて、夫までそれにつき合わせているように見えていたみたいなんです。そのたびに「そうじゃないんだよ」と説明していたのですが、なかなか理解してもらえませんでした。
ただ、最近は少しずつ変わってきたように感じます。私が『産む気もないのに生理かよ!』を出版したこともありますし、夫と仲良く暮らしながら好きな仕事をしていて、これまでで一番楽しそうに生活している姿を見ているからだと思います。「最近、元気そうだね」と言われることも増えました。
母の世代にとっては、「子どもを持たない人生はかわいそうなもの」という価値観が当たり前だったと思うんです。だから最初は想像ができなかった。でも実際に私の暮らしを見ているうちに、「こういう生き方もあるんだ」と感じてくれるようになったのかもしれません
つい最近、母から「あなたがいろいろ言うおかげで、私もいろんな人がいていいんだと思えるようになった」と言われたことがあって。それは本当にうれしかったですね。
私が話してきたことだけではなく、ドラマや本などを通じて世の中の価値観も少しずつ変わってきたからこそだと思いますが、ちゃんと伝わることもあるんだなと感じました。
親戚に本を読まれるのは正直少し怖かったのです。でも母方の叔母からは、「私も前から同じことを思っていた」と言われて驚きました。もっと批判されると思っていたので、世代が上の方にも届く内容だったことは意外でした。
母も最近は「執筆頑張っているね」と応援してくれるようになりました。そうした変化を見ると、考え方は少しずつでも変わっていくものなんだなと思います。

ご結婚後は、周囲からの風当たりや、何気ない言葉に傷つくことはありませんか

06
Podcast番組『となりの芝生はソーブルー』は先日ポッドキャストアワードにもノミネートされていましたが、はじめようと思われたきっかけを教えてください

Spotifyが実施している、世界で活躍する女性たちに焦点を当てた『EQUAL』というグローバルプログラムがあって、音楽業界における女性アーティストの少なさや、チャートへの可視化のされにくさといった課題に対して、より平等にしていこうというプロジェクトなんです。
その一環として、女性のポッドキャスターをもっとフィーチャーしていこうという流れがあり、今年から『Spotify EQUAL賞』という特別賞が設けられ、ノミネートされました。
番組のパートナーのよしのちゃんとは、新卒で入った会社の同期でした。私はビジネス職、彼女はデザイナーだったので部署は違ったんですが、社内の横断プロジェクトなどで一緒に仕事をしたことがあり、「この人は面白いことを考えるし、ちゃんと自分の言葉で喋れる人だな」という印象を持っていました。
SNSでゆるくつながっている程度で、特別に親しいというわけでもなかったです。その後、私が先に転職し、彼女は前職で働き続けていましたが、彼女が子どもを産んで今後のキャリアを考えているタイミングで、私が現在の会社に誘いました。
私は文章を書いていますが、それだけだと届く層が限られるという実感があり、別のタッチポイントが欲しいと思っていました。また、当時はまだ本を出す前で、「子どもを持つ・持たない」といったテーマをnoteで書いていたんですが、共感してくれる人がいる一方で、違う立場の人にはどう届くのかという課題意識もありました。
そもそも、そうしたテーマで「こっち側・あっち側」のように分断が生まれること自体に違和感があったんです。だからこそ、立場や属性が違っても自然に話ができる場をつくれないかと思い、「Podcastがいいのでは?」と考えました。
ちょうどよしのちゃんもPodcastをやってみたいという気持ちがあるようだったので、声をかけて一緒にやってみることにしました。

Podcast番組『となりの芝生はソーブルー』は先日ポッドキャストアワードにもノミネートされていましたが、はじめようと思われたきっかけを教えてください

07
自分とは違う価値観や考え方を持っている人と話をする時、心がけていることはありますか?

いろんな世界をのぞき見るのが好きなので、「そこにはそういうルールがあるんだ」と興味を持つタイプなんです。
その延長で、「それってこの業界的にはどうなんですか?」みたいに聞くのは結構好きですね。たとえば「このテーマについて子どもがいる人だったらどう思うのか」といったような話も、興味を持って聞いてしまうほうです。
ただ最近少し難しいと感じているのは、政治の立場の違いですね。結婚している・していない、子どもがいる・いない、働いている・いないといった違いは、それぞれの背景として話ができるんですが、政治的な立場の違いになると、途端に難しくなる感覚があります。
自分が「これは問題だ」と思っていることを、相手が「いや、別にそこまでじゃないんじゃない?」と言った時や、まったく違う考えを持った人と話をする時には、どうしても拒絶反応というか、心が閉じてしまいそうになる瞬間があって。それはあまり良くない態度だなとも思っています。とくに選挙の話などは、「この人はこっちの考え方なのかな」と無意識に区分けしてしまう自分に気づくことがありました。
でも本当は、考えが違っていても共通の話題は必ずどこかにあるはずで、そこから関係性をつくっていけば、もう少し政治や社会の話も腹を割ってできるようになるのではないかと思っています。そのための“訓練”がまだ自分には足りていない感覚があります。
政治の話って、現状や解決策を十分に理解できていないまま話して、何か間違っていたら嫌だなと身構えてしまうところがありますよね。でも、話しにくいままでいることも良くないと思うので、専門家ではない私たちが番組の中で少しずつ話していけたらいいなという気持ちはあります。
Podcastを始めてからはとくに、それを感じるようになりました。対話というのは一度で結論を出すものではなくて、時間をかけて積み重ねていくものなんだなと実感しています。
今の私は比較的淡々と話すほうですが、20代の頃はもっと感情的でした。社会の中で女性の扱われ方に違和感があったりすると、その怒りを上司にそのままぶつけてしまうこともありましたし、それによって「何か感情的に言ってる」と見られていること自体にも腹を立てていました。
ただ、当時それで何かが大きく変わったかというと、そうでもなかったなと思って…。だからこそ、「どうすれば自分の思っていることを、相手に届く形で伝えられるのか」を考えるようになりました
文章を書いて発信するようになってからは特にそうで、「関心のない人にもちゃんと受け取ってもらえる形に変換する」という感覚に近いかもしれません。「トーンポリシング(発言内容ではなく“言い方・感情表現”だけを問題視し、特に弱い立場の人の批判や訴えを封じる行為)」は嫌なのでしたくもされたくもないですが、どうしたらわかってもらえるだろうと考えて工夫するのも大事なことだよなと。
結果的に、今のような話し方やスタンスになっていったのは、そうした試行錯誤の積み重ねなのかなと思っています。

自分とは違う価値観や考え方を持っている人と話をする時、心がけていることはありますか?

後編では、月岡さんの暮らしや美容習慣、夢中になっていることについて伺いました。

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<月岡ツキさんプロフィール>
著書『産む気もないのに生理かよ!』をはじめ、子どもを持たない選択や夫婦のあり方、多様な価値観について発信している。Podcast番組『となりの芝生はソーブルー』では、異なる立場や考え方を持つ人との対話を大切にしながら、社会や暮らしについて語っている。近著に『傷つきながら泳いでく』(朝日新聞出版)、2026年9月に『今世は母になりません』(太田出版)を出版。
Instagram:@tsukky_dayo
『今世は母になりません』販売ページ(amazon):https://amzn.asia/d/01yEzu1a


編集/㈱メディアム 成田 恵子、執筆/北村 文、撮影/三浦 藤一

EDITOR

DEPACO編集部

エディター 高梨

本来レールはないはずなのに、結婚は?仕事は?子どもは?1人産んだら2人目は?と、常に選択を迫られているような感覚があったので、子を持つことを選択した私も、月岡さんの言葉に共感しながらお話を伺いました。
肌悩み
  • シミ・たるみ
好きなメイク
  • 素肌風ベースにリップしっかりめ
コスメの悩み
  • メイクの引き算が難しい

旅行誌の出版社で編集職を10年以上経験。出産を機にキャリアを見つめ直し、今後は大好きな美容の情報発信をしたいという想いでDEPACO編集部へ。美容はスキンケアやベースメイクでの“土台作り”が好き。趣味は旅と料理。

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